【伊藤美玲のめがねコラム】第54回「きれいになれるめがねって?③ 眼鏡屋MuRA 中村サヤカさん」
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めがねに関わる方たちと「きれいになれるめがね」について考えるこの企画。個人的に力を入れたい企画でありながら、1年以上のご無沙汰となってしまいました。でもね。これ、言い訳でもあり今回の主題でもあるんですが、なかなかめがね業界において女性向けのデザインに特化したブランド、そしてその発信に特化しているお店というのは少ないんですよ……。
そんななか、Instagramを中心にめがねユーザーの女性に嬉しい情報を日々発信しているのが、京都市西京区にある眼鏡屋MuRA(ムーラ)の店長、中村サヤカさんです。
中村さんの発信は、女性向けに特化しているのが特徴。お店ではpropoやSeacret Remedy、VioRouといった、女性がお洒落にかつデイリーに使えるブランドを多く扱っているのですが、それらをメインとした商品紹介や実際の着用画像をはじめ、めがねメイクについても触れていたりと、お役立ち情報がたくさん。個人的にも「これは真似してみたい!」と思う提案も多く、女性のめがねユーザーならぜひフォローしてほしいアカウントのひとつです。
一度じっくり話しをしたいとずーっと思ってたんですが、このたびようやく京都へ行くことが叶い、この対談が実現しました!
デイリーに使えるお洒落なめがねを紹介したい
中村さんのアカウントは、めがね屋さんのなかでは珍しく女性向けの情報に特化していますよね。
中村1年半ぐらい前から、Instagramを見てくれた女性のお客様が増えてきたというのがまず大きなきっかけです。それと、以前自分が美容室を検索しようとInstagramを見ていたとき、「ショートヘアが得意です!」と、ショートヘアのカタログやアレンジ動画ばかりを載せている美容師さんを見つけたんですね。自分がショートヘアだったら、それが得意だという人のところに行きたいじゃないですか。実際にその方のアレンジ動画とかも、ものすごく活用できて。ってことは、「めがねももう少し発信するものを絞っていいんだ!」って思ったんです。
ある程度内容がフォーカスされていたほうが、利用する側としてもありがたいですもんね。今はファッションやメイクの情報をInstagramで得るという人も多いですが、めがね関係のアカウントに関しては商品画像のみのところも多いなかで、中村さんのアカウントはそこから一歩踏み出して「どうかけるか」という提案もあるのが、とてもわかりやすく親切だなと思っています。
中村じつは私も、最初はカタログ的に商品の紹介をするのがメインでした。今もそれはしていますが、それに加えてさらに一歩踏み込んだ情報を発信し始めたことで、女性のお客様からめがね選びについて相談されることはとても増えましたね。なかでも、“きれいになれるめがね”を探している方が多いかな。言い換えるなら、“お洒落に見えるけれど、個性的過ぎずデイリーに使えるもの”、というか。うちだとpropoが代表的な例ですね。意外とそうしためがねの情報って少ない気がするんです。
たしかに、雑誌などでは誌面映えを考えて、鮮やかな色やデザインなど個性が強いものをつい掲載してしまう傾向があります。私もめがね単体では個性的なものも大好きだけど、自分の服装との相性やライフスタイルを考えると、シンプルなものに手が伸びるかな。
中村私も個性的なめがねはすごく好きなんですけど、そういうめがねをかけている人を増やしたいのかといったら、それは少し違うんですよね。自分でもリアルにかけたいなと思うものを紹介していたら、自然と今のような内容になってきて。
デイリーに使えるめがねを、いかにきれいに、または可愛くかけこなすか。女性なら一番気になるところかもしれないですね。
めがねメイクで気を付けるべきは?
めがねとメイクの話もたびたびインスタにアップされてますよね。私はあれが大好きで。とくに度数の強いめがねをかける前提でのメイク写真とか、強度近視の私にはとても刺さります。ネット上などのめがねメイクの情報は、時々「え?」ってなるものもあったりするので……。
中村そうなんですよね。「めがねにパワーがあるから、メイクは薄めでもいいです」っていうのが定説になっていたりして。それを鵜呑みにした近視の方が「メイクがうまくいかないんです~」って悩んでいたりするんです。
近視だとただでさえ目が小さく見えてしまうのに、メイクを薄めにしたらだいぶ寂しい印象に……。
中村そうなんです。ある程度近視の人なら、普段よりむしろアイメイクを濃くしたほうがバランスがいいと思っています。伊達めがねなら話は別だけど……。
「すっぴん隠しにめがねを」って言われたりするけれど、基本的には化粧をしたほうがめがねは映えますよね。めがねによっては、余計すっぴんが際立ってしまうことも。とはいえ、私も以前はメイクは薄めにすべきと思っていたこともありました。
中村私もそうでした。でも、以前とあるめがね屋さんでプロのメイクさんを呼んだイベントがあって。そのメイクさんはめがねに詳しい方ではなかったんですけど、「もっとメイクを濃くしたほうが、どんなめがねも似合うはず」ってさらっとおっしゃったのが結構衝撃で。めがねメイクへの関心が高まったのは、それがきっかけだったかもしれないです。
めがねメイクを提唱しているメイクアーティスト、中西さつきさんの講座にも通われたりしていたんですよね。
中村そうです。そこで基礎をみっちりと学びました。発信するときはトレンドも加味しながら、日常使いしやすい提案に落とし込むことを意識していますね。
では、ご自身のめがねメイクで心掛けていることは?
中村まずは基本的なことですけど、めがねに合わせるってことですね。やっぱり、きちんと合わせるとお洒落に見えるんですよ。
今日もかけているVioRouのブラウンと、アイシャドウのブラウンがリンクしていて素敵!
中村ありがとうございます。今日はめがねがある程度個性的なのでワントーンでまとめてますけど、もう少しあっさりしたフレームのときは、アイシャドウの色を明るくしたり、派手にしたりしてもバランスが取れますね。そうすると、メイクにも注目してもらえるし。
なるほど。私も最近華奢なメタルフレームをかけるようになったら、なんだか顔が寂しく感じられて。最近は意識的に目元に明るめのカラーを使うようにしています。あとは、ファンデーションなどのベースメイクをしっかりめに。華奢なメタルフレームはしっかりメイクしてないと、お洒落に見えにくい気がして。
中村あとはメイクが古臭くならないようにっていうのも大事ですよね。「流行を追って若作りしましょう」ということではないけど、ある程度の今っぽさは大事。今はInstagramなどでヘアメイクさんの最新の提案が見られるから、いい時代だなと。
そうそう。それで使っているアイテムが気になったりね。Instagramだと気になるブランド名を入れたら実際にそこのアイテムを使ってメイクした人の画像や色比較のスウォッチとかも出てくるから、色選びの参考になるしね。
中村メイク動画も見られるし、ブランドごとの紹介だけでなく、似たような色をメーカーごとに比較している人もいるじゃないですか。ああいうの便利ですよね。
ほんとありがたいよね。「このめがねには、これがいいかな?」と、ある程度イメージをもってからお店に行けるようになったので、カウンターでBA(ビューティー・アドバイザー)さんを前にしても、おどおどしなくなりました(笑)。
めがねメイクのオススメアイテム
では、何かめがねメイク用におススメのアイテムってありますか?
中村じつはお客様にも再三オススメしているのがKATEのダブルラインエキスパート。ものすごく薄いブラウンの二重(ふたえ)ライナーなんですけど、これで自然な陰影が作れるので二重のラインを自然に描き足すことができるんです。今使ってみます? ちょっと使い方にコツはいるんですけど……(実際にメイクしてもらう)。
わっ、ほんとに二重がくっきりして目が大きく見える! 黒じゃないから見た目も自然だ。これは近視で目が小さく見えてしまう人にはぜひやってみてほしい! 私も買って練習しよう。では私のオススメは……、PLAYLISTのインスタントアイコンプリート ライナーマスカラだったのだけど、じつは昨年末にブランドが終了してしまい……。これ、ブラシの形状が変わっていてケバケバしていないからまつ毛の根元を立ち上げるのに重宝していたんです。
中村めがね女子のまつ毛は、長さよりボリュームですよね。
そうそう。私はレンズに当たらないよう先端までは塗らず、根元にしっかり付けてボリュームを持たせています。あとは、めがねをかけるときは眉も大事ですよね。
中村眉はめがねの存在感とぶつからないようナチュラルに、というのが基本かもしれないけれど、少し濃いめや太めに仕上げるのも今っぽくて良いかなと。とくに、細メタル系フレームをかけるときは、アイブロウをしっかり描いたほうが顔にメリハリが出ます。
たしかに今、眉はしっかりめが気分ですね。私はもともと眉が太くて長いのだけど、最近は切ったり剃ったりせずにマスカラやパウダーで色だけ補正していることが多いかな。
中村眉はその時々でアップデートさせるのが、古い顔にならないコツのひとつですね。
メイクのトレンドについての情報は多いけれど、めがねのトレンドとリンクさせた情報は本当に貴重。これからもぜひめがねメイクの発信をお願いします!
めがねメイク、その前に……。
中村じつは、めがねメイク以前に、もっと基本的なところでめがね選びに迷っている方も多く来られるんです。サイズ感が合っていなかったり、強度近視の方がフレーム径の小ささを優先して選んだ結果、地味になり過ぎてしまっていたりとか。きれいに見えるためのアドバイスも、そもそも合わないめがねをかけていたら意味がないですから……。
その人に合ったサイズ選びとか、業界では当たり前になっていることでもまだまだ伝わっていない部分がありますからね。中村さんは、そうした点も写真やキャプションで丁寧に説明されてますね。
中村発信に関してはまだまだなところもあるんですが……。でも、私の発信で何か共感できる部分があれば、まずお店に来てほしいなと思っているんです。やっぱりめがねは直接お話しをしたうえで、お顔の印象だけでなく、話したときの雰囲気も込みでご提案できることがあると思っているので。じつは私の接客って結果的に3時間ぐらいになることも多いんですよ。めがねのお悩みを伺うのはもちろん、メイクをされる方だったらめがねに合ったメイク方法とかもアドバイスさせてもらっています。
じっくりお悩みとか聞いてもらえるんですね。そういうお店がもっと増えたら、女性もめがね選びが楽しくなりそう。
中村たくさんの情報のなかから、ユーザーさんも好みのお店を近場で選べるようになったらいいですよね。うちにも時々「インスタ見ました!」と遠くからご来店いただくことがあって。それはとてもありがたいのですが、基本的にはアフターフォローをきちんとさせていただきたいので。
そのためにも、ぜひめがね業界の女性にどんどん発信してもらいたいですね。
中村あるブランドの方が言ってたんですけど、女性のスタッフがSNSを運営しているお店って意外と少ないんですよね。お店に若い女性がいたとしても、発信する権限がなかったり。
若い子だと動画でもうまく表現ができそうだし、もっといろいろな発信を見てみたいですね。そうして、もっとめがねの上質な情報が楽しく広く伝わっていけばいいなと。まずは私たちで盛り上げていきましょう!
【眼鏡屋MuRA】
京都市西京区山田大吉見町18-2
TEL 075-392-3431
10:00~20:00 火曜定休
Instagram:https://www.instagram.com/meganeyamura/
東京都生まれ。出版社勤務を経て、2006年にライターとして独立。メガネ専門誌『MODE OPTIQUE』をはじめ、『Begin』『monoマガジン』といったモノ雑誌、『Forbes JAPAN 』『文春オンライン』等のWEB媒体にて、メガネにまつわる記事やコラムを執筆してい る。TV、ラジオ等のメディアにも出演し、『マツコの知らない世界』では“メガネの世 界の案内人”として登場。メガネの国際展示会「iOFT」で行われている「日本メガネ大賞」の審査員も務める。