【伊藤美玲のめがねコラム】 第100回「めがねは、かける人の人生に寄りそうもの」
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今回で、「伊藤美玲のめがねコラム」が100回目を迎えました。
正直なところ、連載を始めた当初はここまで続けられるとは思っていませんでした。これもひとえに、読んでくださっている皆さんのおかげです。ありがとうございます。
自分の変化とともに、かけるめがねも変化
連載がスタートしたのは、2016年12月。それまではインタビュー記事や商品紹介の執筆がメインだったので、自分の考えを語るコラムを書くのは初めての経験でした。そのため、第1回目のコラムが掲載された日は嬉しかったのと同時に、「どんな反応があるのだろう」と緊張して過ごしたものです。
それから毎回、めがねを購入・使用するなかで感じたことを綴ったり、気になる事柄について取材をしたりしてきたわけですが、振り返ればこの6年は自分自身にいろいろな変化があった時期であり、コラムの内容にもそのことが如実に表れているなぁと感じます。
子どもができて以前よりアクティブに動かざるを得なくなったことで、フレーム選びの基準がより機能面重視になったり、抱っこをしているとサングラスの掛け外しがしにくいので、調光レンズを活用するようになったり。
第14回「ママ目線のめがね選び① ― 子どもができて変わったこと ―第19回「ママのためのめがね選び③ ―調光レンズはママにこそ役に立つ!?―」
子どもが3歳にもなると、次第に子どもの目のことが気になり始め、スクリーニング検査を受けたり、子どもめがね専門店にサングラスの選び方について取材に行ったこともありました。
第62回「子どもの斜視や弱視を見逃さないために」第63回「子どものサングラス、どう選ぶ?」
そして、数年前には私が突如耳鳴りを発症。眩しさにも弱くなってしまい、カラーレンズについて書くことも増えました。それは自分自身の眩しさ対策を探るためであると同時に、「眩しさがつらい」と感じる人がいることを、もっと多くの人に知ってほしいという思いからでもあります。
第93回「サングラスを気軽にかけられる世の中に」第96回「光がまぶしいと感じるなら… 知っておきたい『遮光眼鏡』のこと」
そしてきっと、これからは老眼に関しての記事が増えていくのでしょう。
もちろんもっと一般的な切り口から書くこともできるのだろうけど、どうして私は自分自身を軸にして書くのか。それは、めがねはそれだけかける人のライフスタイルや、置かれている環境と密接に関わりがあるものだということを知ってほしいからなんです。
めがね屋さんへ相談するきっかけを作りたい
現在、めがねの情報はネットで気軽に得られるようになりました。Instagramをチェックすれば世界中のブランドの新作が見られるし、お洒落な人の掛けこなしも参考にできる。似合うめがねの選び方について書かれた記事もたくさんあれば、今やAIが似合うめがねを判断してくれるようにもなりました。
とはいえ、めがねは単に似合っていれば、お洒落であればOKというアイテムではありません。素敵なフレームも高性能なレンズも、自分に合ったものを適したシーンで使わなければ宝の持ち腐れに。それどころか、悪い影響を及ぼすことだってあるでしょう。
でもね、人によって好みや置かれた環境、悩みは違うから、一概に「コレがいい!」と特定のアイテムや使い方を勧めることは難しい。だからこそ私は、自分の見え方についての悩みや迷い、それを解決するためのめがね選びの過程を知ってもらうことで、「自分もめがね屋さんに相談してみようかな」と読者の方に思ってもらうきっかけを作れたら……。そうした思いで、コラムを書き続けてきました。
振り返ると私自身、本当にめがねに助けられてきた人生だなと思います。快適な視界を得ることはQOL(※1)を上げるためにも大事なことだし、さらにはそのめがねで“なりたい自分”を演出できて、気分もアガるなんて最高じゃぁないですか。めがねの魅力、もっともっと伝えていきたい。まだまだ書かなきゃいけないことはたくさんあると感じています。
私自身、これからも見え方は変化していくし、環境も変化していくことでしょう。きっとその都度、私はめがね屋さんに相談しに行き、めがねに助けられるのだと思います。
めがねは人生に寄りそってくれるアイテムであり、このコラムもそんなめがねユーザーに寄りそうものでありたい。100回目を迎え、改めてその思いを強くしました。これからも、引き続きどうぞよろしくお願いします!
※1 QOL:
「Quality of Life」(生活の質)
東京都生まれ。出版社勤務を経て、2006年にライターとして独立。メガネ専門誌『MODE OPTIQUE』をはじめ、『Begin』『monoマガジン』といったモノ雑誌、『Forbes JAPAN 』『文春オンライン』等のWEB媒体にて、メガネにまつわる記事やコラムを執筆してい る。TV、ラジオ等のメディアにも出演し、『マツコの知らない世界』では“メガネの世 界の案内人”として登場。メガネの国際展示会「iOFT」で行われている「日本メガネ大賞」の審査員も務める。