あなたの変化に、そっと寄りそう

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【わたしはめがねのここが好き!】第4回 映画監督 遠藤尚太郎さんの場合

【わたしはめがねのここが好き!】第4回 映画監督 遠藤尚太郎さんの場合

| めがね新聞編集部
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めがねが大好き!
でも、なかなかそんなことを話せる場所もなければ、相手もいない…。
ならば、「めがね新聞」で思う存分語っていただきましょー !! という企画、題して「わたしはめがねのここが好き!」。

第2回は、「これだ!」と思うめがねに出会ってからは、そのめがね一筋。現在かけているめがねは3代目! 「撮影でも編集でも疲れない、とにかく身体に馴染むめがねがいい」という映画監督・遠藤尚太郎さんにインタビューしてきました。

遠藤監督は映画『築地ワンダーランド』にて、なんと築地市場を1年4ヶ月かけて通い600時間撮影、そして編集には10ヵ月もの時間を費やしたとのこと!! 映画監督とは“視覚”を追求した職業でもあり、目を研ぎ澄まし酷使するお仕事でもあることが、よくわかります。「疲れない!」、どころかめがねで「癒す」ことができれば…。また、遠藤監督が「レンズで捉えたい世界」についてもお伺いしました!

初めて買っためがねが「STARCK EYE(スタルクアイズ)」!?

遠藤監督は、気に入っためがねを見つけてから、それをずっと使い続けているとお伺いしました。どのポイントが気に入ったのですか?

遠藤仕事柄、映像の編集などで長時間PC画面と、にらめっこしていることが多いんです。だから、作業し続けて「目が疲れる」とか「痛くなる」めがねは論外。とにかく「疲れない!」ってところがポイントです。

今かけているめがねは、「疲れないめがね」なんですね。

遠藤そうですね。999.9(フォーナインズ)のこのタイプをずっと使っています。これで3本目。1本目を使い潰して、次に買いに行った時に色違いで2本購入しました。なくなっちゃったら困ると思いまして(笑)。

【わたしはめがねのここが好き!】第4回 映画監督 遠藤尚太郎さんの場合

めがねを色違いで同時購入ですか!? そういう買い方もあるんですねー。初めて聞くパターンです(笑)

遠藤PC用めがねも持っているんですが、映像を見るときは色が変わってしまうので、編集の時はかけていませんね。

ブルーライトカットのレンズですね。今はカラーがついてないものが多いので、ぜひ次回購入するときはそちらを試してみてください! 持ってきていただいためがねの中で、1本だけブランドが違うものがありますね。これは、いつ買っためがねなんですか?

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遠藤これは、僕が初めて買っためがねです。デザイナーのフィリップ・スタルクと、アラン・ミクリというめがねブランドがコラボレーションした「STARCK EYE(スタルクアイズ)」です。

えっ! 初めて買ったのが、このハイブランドめがねなんですか!? デザイナーのフィリップ・スタルクといえば、浅草にあるスーパードライホール上の “金色の巨大モニュメント「フラムドール」” をデザインした世界的に有名な方ですよね? お値段も結構しますよね…! なぜ、このめがねを?

遠藤かけて「これだ!」と思いまして(笑)。あと、値段も高くて良いものをはじめに知った方が、自分に必要なものがわかると思ったんですよね。グレードを落とすにしても、それを知らないと、どこを残していいかがわからないじゃないですか。

【わたしはめがねのここが好き!】第4回 映画監督 遠藤尚太郎さんの場合

なるほど! 深く納得しました。遠藤監督のめがねの買い方は、ユニークで合理的ですね。

遠藤自動車の免許をとる時に、買ったんですよ。でも、20代後半でサーフィンを始めたら、視力が回復したんだけど、この仕事してからまた目が悪くなって。

サーフィンで視力回復ですか!?

遠藤水平線を見るようになったからかな(笑)。

でも、やはりまた目を酷使されて、視力が悪くなったと。撮影するときも、めがねをかけているんですか?

遠藤かけてる方が多いかな。『築地ワンダーランド』のようなドキュメンタリーだと自分で撮影することもあるので、しっかり見るためにもめがねはかけますね。あと、築地市場を撮影する際は360度見渡して、今起こっていることをハンターようにとらえなければいけなかったので。あそこは、広いし明暗もあるし情報量も多い。だから、ひとつひとつのものをしっかり見るために、めがねが必要でした。

【わたしはめがねのここが好き!】第4回 映画監督 遠藤尚太郎さんの場合

点ではなく線で繋がってきた“築地”を、次世代に残したい

今年(2018年)の10月に、築地市場が豊洲へと移転しました。80年続いた築地市場が幕をおろし、また新たな文化を豊洲で築いていくことになりますね。市場に大きい変化が訪れたわけですが、変化といえば『築地ワンダーランド』も“築地の四季”や“旬”などといった、築地市場を通して見える様々な変化をあらわしています。取材・撮影・編集と長期間に渡って、築地と接していた遠藤監督自身にも変化は起こりましたか?

遠藤変わったことか…。まず、変わらなかったことは「築地が好きだ」ということ。そして、変わったことは「よりわからなくなった」ことかな…。

1年4ヶ月もの撮影を通して、より、わからなくなったんですね! それほど、築地市場は奥が深いと…。

遠藤築地市場って日々変化するんです。取引される魚介類だけでなく、働く人もそのシステムも。もちろん時代の変化に対応して、だんだんと変わっていくこともあるし。例えば、全国から魚が運ばれてくる方法が、船→トラックになったことで、築地に魚などが運びこまれてくる場所が変わり、その影響を受けて築地市場全体の“ものの流れ”も変わってくる。
また、冷凍技術や運送方法の発達によって、取引先も広がっていく。それに対応して、取引時間もだんだん前倒しされているんです。いまでは夕方に運び込まれた魚が、深夜の2時、3時には羽田や成田に送られて、航空機で運ばれ、その日のうちにアジアの鮨屋で握ることが可能になっています。

【わたしはめがねのここが好き!】第4回 映画監督 遠藤尚太郎さんの場合

築地市場は時代の変化を、映し出してきた場所でもあるんですね。特典映像に収められていた「魚の旬は、時代によって変化する」という話は、目から鱗でとても面白かったです。冷凍技術や運送方法の発達によって、また地球の変化によって、“旬”も変わってくるんだなーと。

遠藤築地市場では、1週間単位で季節が移り変わって行きますからね。築地に、日々の変化も、時代の変化も現れてくるのは、点ではなく線で繋がっている場所だからだと思います。

80年続いてきた場所ですもんね。映画の中で取材を受けていた仲買人さんも、「先々代・先代から受け継いできたものがある」とおっしゃっていました。

遠藤近い将来、食の世界でも“築地”というものを全く知らない人が出てくると思うんですよ。そういう人たちに、“築地”という場所でどんなことが行われていたかということを残したかった。「次の世代」に残したい要素を『築地ワンダーランド』には込めているんです。

【わたしはめがねのここが好き!】第4回 映画監督 遠藤尚太郎さんの場合

あまりに美しい築地の○○に、思わずウルウル!?

遠藤監督は、いつから映画づくりに興味を持ったんですか?

遠藤大学時代ですね。自分の想像をひとつの「線」にして、人に観てもらうのが楽しかったんですよね。初めてつくった作品が映画になった時は感動しました。

どんな映画だったんですか?

遠藤主人公が失くした鍵が、いろんな人の手を渡り、最後には主人公の元に戻ってくるというストーリーです。

その映画も、色んな点が線になるという話ですね。

遠藤そうですね。「時間の経過」や「人」といった色んな点の繋がりでできているという意味で、群像劇が好きなんですよ。『築地ワンダーランド』もひとつの群像劇です。

【わたしはめがねのここが好き!】第4回 映画監督 遠藤尚太郎さんの場合

『築地ワンダーランド』では、場内の風景を人も魚も、築地市場にあるものも全てが均質に美しく撮られているシーンが、インタビュー映像などの間に挟み込まれていますよね。ひとつの絵本を読んでいるような気分になり、印象的でした。場面によって映像の質に変化があったように思いましたが、どのように撮影されたんですか?

遠藤標準、広角、望遠レンズを持ち歩いて、臨機応変に変えながら撮影しました。“写っていればいい”というわけではなく、“どう写すか”が重要だったので。でも、このDVDの表紙に使われている、築地を上空から撮影したときは、あまりにも美しかったので一瞬撮ることを忘れていました(笑)。肉眼で見て圧倒されて、カメラを構えることを忘れてしまった。

それほど美しかったということですよね。これは、朝焼けですか?

【わたしはめがねのここが好き!】第4回 映画監督 遠藤尚太郎さんの場合
©2016 松竹

遠藤朝日に照らされる築地市場です。ヘリコプターに乗って空撮したんですが、自分の目に入ってくる情報量が凄まじくて、そして美しくて。若干ウルウルしてましたね(笑)。築地市場は、夕方から荷物が競り場に集まり、深夜に価格を決める「相対取引」、早朝に「競り」が行われます。そのバタバタがひと段落した頃に訪れる、築地の朝は本当に美しいんです。

この光のグラデーションが、なんとも言えない美しさですね。映画の中でも様々な食材や四季など“色づかい”が印象的でした。“色”を大切に撮影していたのですか?

遠藤“色”というより、“光”の入り方ですね。築地市場には自然光が入ってくる場所もあるし、吊るされた無数のライトが照らしている場所もあるし、あそこは色んな光が入ってくる場所なんです。

だから、映画では築地市場が美しく透明感を持って見えるんですね。光で空間を捉えるというのは面白いです。めがねもレンズで光を捉えて変化させるプロダクトなので。

遠藤そういえば、僕今だにめがねをかけて食事をすると、遠近感に違和感を覚えてしまうんです。なんか食べづらくなってしまって…。

それは、遠藤監督の空間把握がとても繊細で、通常のレンズでは合わないのかもしれませんね。できれば「日常で使う用」と「仕事で使う用」を分けてレンズをつくってもらうと、解消できると思います!めがねは、人それぞれの変化に対応して調整する道具でもあります。ひとつとして同じものがないという点では、魚と同じですね。
豊洲市場のこれからとともに、遠藤監督が次はどんな点を線に、そしてどんな空間の光を捉えていくのかとても楽しみです。今日は、ありがとうございました!

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遠藤尚太郎(えんどう なおたろう)

<プロフィール>
1978年生まれ。自主制作作品『偶然のつづき』が第27回ぴあフィルムフェスティバルに入選、観客賞を受賞。その後、ドキュメンタリー番組やCM映像、PVなど幅広く携わる。築地市場を追った『築地ワンダーランド』(2016年)は、劇場用映画監督デビュー作。

映画『TSUKIJI WONDERLAND(築地ワンダーランド)』

【わたしはめがねのここが好き!】第4回 映画監督 遠藤尚太郎さんの場合
©2016 松竹


監督・脚本・編集:遠藤尚太郎  音楽:Takahiro Kido
出演(取材協力):築地で働く人々(仲卸ほか)
発売中
税抜価格:DVD ¥5,400 / Blu-ray ¥6,300
発売元:松竹
販売元:松竹
『TSUKIJI WONDERLAND(築地ワンダーランド)』公式サイト