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【わたしはめがねのここが好き!】第5回 映像プロデューサー 原沢優太さんの場合

【わたしはめがねのここが好き!】第5回 映像プロデューサー 原沢優太さんの場合

| 安達友絵

めがねが大好き!
でも、なかなかそんなことを話せる場所もなければ、相手もいない…。
ならば、「めがね新聞」で思う存分語っていただきましょー !! という企画、題して「わたしはめがねのここが好き!」。

第5回は、映像プロデューサーの原沢優太さんにインタビューしてきました!

「広告業界は個性の強い人が多いので、キャラクターをつけたいという思いもあります」と話す原沢さん。広告制作会社である、株式会社ティー・ワイ・オー(TYO)の第一プロデュース本部「TYO drive」に所属し、チーフプロデューサーとしてZOZOTOWNやWEARなどを運営する「株式会社ZOZO」や即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「BIZREACH(ビズリーチ)」、アサヒビールの「アサヒ極上<キレ味>」など、テレビでも何度も見かけるCM制作の数々を手がけています。

こだわりのめがねが、多くのスタッフの間に立つ原沢さんの仕事に、一役買っているのだとか。CM制作に対するこだわりや熱い思いなども合わせて、たっぷりとお伺いしてきました!

僕の「定番めがね」は、僕以外が選んだもの

フロントとテンプルが絶妙なバランスの、素敵なめがねですね。

原沢このめがねは“お気に入り”です(笑)。実は、自分の誕生日に毎年1本めがねを買っていたのですが、これに出会ってからは買わなくなりました。…あ、そういえば今日誕生日なんです(笑)。

【わたしはめがねのここが好き!】第5回 映像プロデューサー 原沢優太さんの場合

えっ、そうなんですか? おめでとうございます! めがねを買っていたという記念日に、取材できて光栄です(笑)。原沢さんの“お気に入り”は、いつ頃購入されたんですか?

原沢2016年です。2017年にも買って、去年は他のめがねに今の視力に合ったレンズを入れ直したんですが、このめがねばっかりかけていますね。機能的にもすごく軽くて楽なんですよ。試しに持ってみてください。

わ! 想像以上に軽いですね。手にしてみても、ほとんど重さを感じません。

原沢LINDBERG(リンドバーグ)というデンマークの会社のめがねで、ネジを1本も使わずに作られているんです。軽いのに強度はすごくあって、一度、酔っ払って下敷きにしてしまったこともあるんですけど、無事でした(笑)。フレームの色がたくさんあったはずなので、今度色違いを買ってもいいかなぁと思っているぐらい気に入ってます。

LINDBERGは、もともと超軽量なツーポイントフレームを得意としているブランドですよね。出会いはどこだったんですか?

原沢渋谷にあるGLOBE SPECSというお店です。妻と一緒に選びました。いつも同じ店員さんが相談にのってくれて。3人で最初にいくつか候補を決めてから絞っていくんですけど、最終的には店員さんが選んだめがねに決めることが多いですね。自分では選ばないようなデザインを見つけてくれるので、楽しいんですよ。

自分が選ばないようなデザインを受け入れるのって、なかなか勇気がいりませんか?

原沢僕はプロデューサーという職業柄、普段の仕事でも、人の意見を一度は受け入れるようにしてるんです。その後自分の中で反芻してみて、やっぱり違うと思ったら、改めて伝えることにしていて。めがねも、おすすめされた時は「これ??」って最初は思っていても、毎日かけているうちに「これいいじゃん…やるな」ってなってきて(笑)。

その店員さんが、原沢さんの新しい側面を引き出してくれてるんですね。

原沢もともと古いものが好きで、車もボロに乗ったりしているんです。このツーブリッジのめがねも、同じ店員さんに選んでもらったんですが、クラシカルな雰囲気が気に入って買いました。MYKITA(マイキータ)というドイツの会社のものです。

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MYKITAも、ネジを使わないめがねです。今日は、原沢さんの“歴代めがね”を持って来て頂いたようで、ありがとうございます。

原沢本当はこれ、モダンと鼻パッドが透明だったんですけど、雨の日に内側に色のついたケースに入れていたら水が入ってしまったみたいで、ケースの色に染まっちゃったんです…。

そうだったんですか! モダンと鼻パッドがすごく珍しい淡いカラーで、素敵だなと思っていました。自分だけのオリジナルですね。

原沢昔のめがねを人に見せるのって、なんか恥ずかしいですね…。昔の自分を見られているみたいな(笑)。

【わたしはめがねのここが好き!】第5回 映像プロデューサー 原沢優太さんの場合

めがねの年表は、自分が「どう見られたいか」の歴史

原沢さんのめがねデビューはいつ頃ですか?

原沢高校生の時に、学校かどこかの検査で視力がすごく下がっていることに気づいて、それからです。最初は「めがねかー」と、少し嫌でしたね。町にある普通のめがね屋さんで買ったのを覚えています。で、その後「もう少しオシャレなめがねをかけたい」と思って、alain mikli(アラン ミクリ)のめがねを買いました。そこから、めがねっていいなと思い始めたんです。

alain mikli! 映画監督の遠藤尚太郎さんに取材した際も、最初に買ったのはalain mikliとおっしゃっていました。

原沢でも、ライブ観に行ったときに、真っ二つに割ってしまって…。瞬間接着剤でくっつけたのですが、接続部分が白くなってしまって、諦めました。

(笑)。そういう場合は、是非めがね屋さんに相談してみてください! では、今のようにこだわりを持ってデザインを選び始めたのは、その頃からですか?

原沢広告制作会社という、今の会社で働き始めてからかもしれませんね。僕が勤めている株式会社ティー・ワイ・オーは、CM制作会社としてスタートした会社ですが、現在はミュージックビデオやウェブ動画、アニメーションなど、時代に合わせて多様な広告コンテンツを制作しています。僕はその中の「TYO drive」という部署に所属して、プロデューサーという役職に就いています。

具体的には、どのようなお仕事なのでしょうか?

原沢広告会社の方や企業の方、制作現場のスタッフなど、さまざまな人たちをつなぎながら、チームを編成して「商品を買ってもらうためのCMをつくる」という、ひとつのゴールを目指して進んでいく仕事です。だから毎日毎日たくさんの人に会うので、自分を覚えてもらうというのは重要だと思ってます。とにかく、広告業界は、本当に個性の強い人が多くて(笑)。

こだわりの強い方や、人を惹きつける個性的な方が多いイメージですね。

原沢そうなんです! そういう中で、少しでもキャラクターを立たせるために、めがねもいいのかなと。そういう思いもあって、デザイン性のあるものも選ぶようになりました。わりと性格は石橋を叩いて渡る慎重派なタイプですけど、めがねくらいは特徴のあるデザインをかけてもいいかなって。

今回は現在かけているものも含めて6本のめがねをお持ちいただきましたが、年表のように時系列で並べていくと、昔の3本はスクエア型のもので、デザインもかちっとしていて強めですね。ここ数年の3本は、ラウンド型やボストン型の柔らかい印象です。

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原沢昔はずっとスクエアをかけていたんですよね。ある時期から丸みのあるタイプに切り替わったんです。これは、Lunor(ルノア)というブランドですね。

Lunorは、スティーブ・ジョブズが愛用していためがねということでも有名ですね。

原沢…思い返すと、このボストン型のめがねに切り替えた2015年は、僕がプロデューサーという今の役職に切り替わった年ですね。

【わたしはめがねのここが好き!】第5回 映像プロデューサー 原沢優太さんの場合

お仕事の環境の変化が、めがねの選び方に影響しているというのは興味深いです。では、スクエアのめがねをかけていた時代は、どのような役職だったんですか?

原沢以前は、プロダクションマネージャーという、映像制作の進行を仕切る役職でした。プロデューサーは、制作だけでなく、営業という側面やそれ以上の役割も含まれるけっこう自由な仕事なので、丸みのあるめがねの方が優しい印象与えるかなと思うようになったんですかね(笑)。

プロデューサーというお仕事は、ピリッと厳しいイメージの方がいいのかと思いこんでいました。

原沢結構シビアな局面もあるので…(笑)。そういう時に、柔らかい印象の方が話しやすいかなと思って。それから、丸みのあるめがねが自分の中で定着しました。妻にも、「優しく見えるし、柔らかい印象の方がいいんじゃない?」と言われたりもして(笑)。

先程、「キャラクターを際立たせる」というお話もありましたが、めがねをかけていることによって、お仕事のそれぞれの場面で精神的に何か影響することはありますか?

原沢何でしょうね…でも、かけていると落ち着きます。一時期コンタクトにしていたこともあったんですけど、やっぱりめがねに戻ったんです。それは、キャラクター付けということだけじゃなくて、フィルターを一枚通している感じがして安心するんですよね。めがねを外すと、女性でいうところのスッピンみたいな気分になります(笑)。あと僕、めがねを外すと、顔が更に薄くなります。知り合いにも気づかれないほど(笑)。

めがねは男性の化粧であると、「めがね新聞」でもうたっています! それほど、めがねが顔の一部として、みなさんに認識されているということですよね!

原沢人に気づかれたくない時はあえて外すとか、計画的に使えそうですよね(笑)。

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花火のような一瞬の時間に思いを込める、CM制作の魅力

「株式会社ZOZO」や「BIZREACH」「アサヒ極上<キレ味>」など、原沢さんは、テレビで何度も見かける数々のCM制作を手がけていらっしゃいます。どのような思いから、CM制作の仕事に携わるようになったのですか?

原沢僕は、前職ではテレビの報道番組制作のADをしていたんです。きっかけは、群馬の実家で大学の受験勉強をしていた時に、アメリカ同時多発テロ事件の映像を見たことでした。「今遠く離れた世界のどこかで起きていることを、群馬から生放送で目撃できてしまうなんて、テレビの報道はすごいな」と思って、テレビ業界に入ったんです。でも、いわゆる人の不幸や納得できないことも伝えなければいけないという側面に、だんだん耐えられなくなってしまって。それで、企業の思いを形にするCM制作の仕事に惹かれるようになりました。

CM制作の、どのような部分が原沢さんを惹きつけたのでしょうか?

原沢企業の商品を売る、という明確な目的があって、その思いを花火みたいに短い時間の中にぎゅっと詰め込む。そこに魅力を感じました。前職と比べて、映像の質も高いし、制作の体制も規模が大きいものが多いので、最初は戸惑いました。でも、自分が関わったCMが流れて商品が売れるとやっぱり嬉しいし、今はその仕事に対して、影響を与えられるところも大きい分、自分も何かを生み出しているという実感があるので、やりがいがありますね。

【わたしはめがねのここが好き!】第5回 映像プロデューサー 原沢優太さんの場合

今日取材でおじゃましているこのスペースは、社内ではどのような場所になるのでしょうか? 今日の原沢さんのコーディネートともマッチしていますよね。

原沢第一プロデュース本部に所属する3人のプロデューサーで、元々の部署と兼務ですが、「DINER」というユニットを2019年の2月につくったんです。ここは「DINER」のスペースで、古き良きアメリカのダイナーをイメージしています。

そのチーム名から由来しているのですね。「DINER」とはどんなユニットなのでしょうか?

原沢例えば、TYOにCM制作を発注するには予算が少ない、でもクオリティーは落としたくない。そんな時に、もう少し気軽に相談や依頼をしてもらえる場所としてできました。そういうコンセプトでもあるので、高級レストランというよりは、ダイナーのような少しカジュアルなインテリアになってます。美味しいコーヒーも飲めますよ(笑)。

【わたしはめがねのここが好き!】第5回 映像プロデューサー 原沢優太さんの場合

映像制作の体制としては、どこが変わってくるのでしょうか?

原沢撮影から編集まで担当することができるメンバーが揃っているので、フレキシブルに動くことができます。必要に応じて外部スタッフとうまく組み合わせることで、低コストに、作業スピードも増すこともできます。今は、YouTubeやiPhoneで誰でも気軽に映像を発信できる時代ですが、広告映像の制作を得意としてきた当社の強みを活かせば、同じスピード感でも、さらにハイクオリティーなものを制作することができると思っているんです。

「ZOZO」や「BIZREACH」「アサヒ極上<キレ味>」のCMなど、原沢さんのプロデュースしたCMは記憶に残るものが多いですよね。

ZOZO For Every Body
ZOZO For Every Body(Behind the scenes)
BIZREACH 「ビズリーチから来た男」篇
アサヒビール 極上<キレ味>「大好評!極上の極上」篇

原沢CMは流れていってしまうものですが、だからこそ記憶に残るものに携わりたいですね。今、ちょっとした夢というか目標があって。僕自身も、子どもの頃、テレビで見たCMソングをよく道端で歌っていたんですけど、今、生後7ヶ月の娘が、いつか僕の作ったCMのフレーズや曲を口ずさんでくれたらいいなと思っています(笑)。

原沢さんのめがねのように、時代に合わせながらも、その時々で人に印象に残していくということですね。原沢さんのプロデュースされたCMを、これからも楽しみにしています。今の“定番めがね”以上にお気に入りを見つけた時は、是非おしらせください! 今日はありがとうございました。

【わたしはめがねのここが好き!】第5回 映像プロデューサー 原沢優太さんの場合

【写真】田島雄一

原沢優太(はらさわ ゆうた)

<プロフィール>
1984年群馬県生まれ。テレビプロダクションを経て、2008年に株式会社ティー・ワイ・オー入社。
2015年プロデューサー。2018年チーフプロデューサーに。
代表作品に「Panasonic: Life is Electric.」「Honda. Great Journey.」など。
カンヌ国際広告祭 グランプリ、D&AD YellowPencil、ADFEST グランプリ、他にもOne show、CLIO、LIA、ADSTARS、ACC、広告電通賞、グッドデザイン賞など多数受賞。