違っていて困るなら補えばいいじゃない!「C Vision S」が肯定する世界
目次
色覚とは
色覚とは、可視光線(400~800 nm)の各波長に応じて起こる感覚をいいます。
網膜には、長波長(565 nm)、中波長(545 nm)、短波長(440 nm)付近の光に感度の高い視物質を持つ3種類の錐体(すいたい)が存在し、それぞれL-錐体(旧:赤錐体)、M-錐体(旧:緑錐体)、S-錐体(旧:青錐体)と呼ばれています。目に光が入るとこの錐体の視物質が応答し、その情報が網膜から視神経を伝わって大脳皮質の視覚中枢に運ばれ、色覚が起こるのです。
(日本眼科学会ホームページより引用)
日本眼科学会ホームページ>目の病気>先天色覚異常
沖縄に行くと、いつも感じます
「ひとつひとつの色がなんて綺麗に見えるんだろう」って。
東京と沖縄の距離でそう感じるのだから、日本とブラジルだと
また色はかわって見えるのでしょうか。
私たちが色の違いを区別できるのは、光の波長が異なるからです。
波長の短い光から長いものまでバランスよく感じとることで、色の3原色である赤・緑・青をすべて認識できるようになります。
遺伝や病気などにより、いずれかの波長をうまく感知できず、判別できない色が出てきてしまう状態にある人がいます。「色覚異常」や「色弱」などと呼ばれ、赤や緑、青など特定の色を判別できない状態を指します。(ここでは、「日本眼科学会」に従い、この状態を「色覚異常」と伝えます。)色覚異常には、遺伝が原因である「先天性」と、病気や高齢による「後天性」があります。日本人男性の20人に一人は先天性の色覚異常であるとされ、決して珍しい状態ではありません。
症状の程度は人によって異なりますが、色が全く見えない状態にある人はごくまれです。ただ区別のつかない色があるため、信号や路線図の一部を判別できない、風景や美術品の色の違いがわからない、赤身の肉が焼けたのか判断できないなどの日常生活で不都合が生じる場合があります。
そのような日常生活における困りごとを解消する色覚補正技術が、このたび開発されました。
様々な見え方にも対応可能、色覚補正技術「C Vision S」
開発したのは株式会社テレパシージャパン。美術展の解説や観光案内につかえるアイウェア型のウェアラブル(身に着けて持ち運べる)デバイスを企画・開発し、AR(拡張現実)の可能性をひろげている会社です。
「C Vision S」は、これまで培ってきたディスプレイ技術と小型カメラ技術をベースに、時分割駆動(2つ以上の処理を時間的にずらして遂行させる)ディスプレイを使用しています。
時分割駆動のディスプレイを用いることで、光の波長選択が可能になり、色覚補正が可能となります。特定の色のみ調節できるため、他の色に影響を与えたり、全体が暗くなったりすることもありません。明るさはそのままに、これまで見られなかった色鮮やかさを感じられます。
東京慈恵会医科大学解剖学講座教授兼特定非営利活動法人カラーユニバーサルデザイン機構CUDO副理事長の岡部正隆教授は
「スマートグラスは色覚を矯正するものではありません。しかし、業務上見分ける必要のある特定の色を簡単に区別することが可能になり、不便の解消に役立つと期待しています」
と述べています。
めがねの新しい形を提案する
「C Vision S」は、普段から使用しているめがねに装着して使用できるのも嬉しいポイントです。
視覚の見え方の違いや不便をフォローするという意味で、「C Vision S」は従来のめがねと役割は同じだと言えます。科学の進歩は、私たちの生活を便利にするだけでなく、めがねの在り方そのものを変えてしまうかもしれません。どんな視覚体験ができるのかワクワクしますね。
株式会社テレパシージャパンは、今後さらに実験を重ねて使いやすさを向上させ、2019年3月までに『C Vision S』を使用したデバイスの製品化を予定しています。一体どんな商品が発表されるのか、今から楽しみに待つことにしましょう!
株式会社テレパシージャパン
書店で働きながら文章を書いています。
「たまごを割らずにオムレツは作れない」をモットーに、色々なジャンルの記事に挑戦していきたいです。
好きなめがねはもちろんオーバル型。