【伊藤美玲のめがねコラム】第78回「視界の好み」
先日、サングラスを新調しました。
というのも、試してみたいレンズがあったからです。それはコダックレンズの「PolarMax Pro(ポラマックス プロ)」。
コダックレンズといえば、これまで私は「Neo Contrast(ネオコントラスト)」を使っていまして。この視界が大好きなんですよ。薄いブルーのレンズで、光のなかでも“人がまぶしいと感じる、明度の高い波長部分”をカットしてくれるので、まぶしさを抑えつつ明るい視界を確保。そうした機能もさることながら、レンズ越しの視界はまるで漂白したかのように黄色味が抑えられ、すっきりとしていて心地が良いんです(毎度ながら、個人の感想です)。
一般にいうサングラスほど視界が暗くならないので屋内でも使えるし、心なしか対向車のヘッドライトの光も落ち着いて感じられるので、曇りの日や夕方など薄暗いなか自転車で出掛ける際にも重宝しています。
で、話をポラマックス プロに戻すと、こちらはコダックの偏光レンズ(※)・ポラマックスに、このネオコントラストの波長コントロール技術がプラスされたもの。それゆえ、ネオコントラスト好きな私としては、どうしても試してみたいレンズだったわけです。
私が選んだのは、Neo Light Grayというカラー。少し青味を感じるグレーです(TOP画像参照)。試してみた感想は、「あー、やっぱり心地いいな。この視界好きだな」と。
…いや、眼鏡ライターのレビューがこれではダメなのはわかっているのですが、「この視界が好き」という感覚は、サングラスレンズ選びの大事なポイントのひとつだと思うのです。
もちろん、スポーツなどのパフォーマンスを高めるためには、レンズのカラーによる特性を考慮して選ぶことが重要になってくるでしょう。たとえばコントラスト効果が高いといわれるピンク系。「ゴルフの際に、アンジュレーション(コースの起伏)をくっきり見たい」「テニスの際に、ボールをくっきり見たい」といったときに向いていると言われています。
でもじつのところ、私はこうした明るくコントラストが高くなるカラーが少々苦手。ピンクは極端な例かもしれませんが、ブラウンでも何だかしっくりこない。でも、これはあくまで私の感覚です。
何が言いたいかというと、カラーについては人によって感じ方や感じる度合いが様々なので、試すことなくネットなどで購入するのはオススメしないということなんです。
お店でサングラスを試着するときは、鏡を見て自分に似合うかどうかをチェックするだけでなく、ぜひ視界のチェックも。めがねフレームにカラーレンズを入れる場合でも、フレームとの相性を考えるだけでなく、サンプルのレンズを目に当てて外の景色を眺めてみてください。
私はサングラス、もしくはカラーレンズを選ぶときは、必ず屋外にも出て視界のチェックをするようにしています。ビルのなかにある店舗であっても、スタッフの方が一緒に外に出てくれることもあるので、ぜひ相談を。親身になってくれるお店なら、きっと協力してくれるはずです。見る景色がそのレンズカラーで染まるわけですから、“見え方”とともに“心地よさ”をチェックすることも重要だと私は思います。
ちなみに私が好きなのは、グレーやブルー。あと1色選ぶならば、グリーンですかね。だいたいサングラスのレンズは、このあたりのカラーに落ち着きます。ファッションのスタイルとしては、もっといろいろなカラーにトライしてみたい気持ちもあるのだけど…。とはいえ、ピンクやブラウンも、これから歳を重ねてコントラストが落ちてきたら手放せないものになるかもしれません。
さて、最後にもう少しポラマックス プロについて触れておくと、じつはまだまだこのレンズが本領発揮するシーンで試せていないというのが正直なところ。車の運転はしない、スポーツしない、アウトドアレジャーを楽しまない完全インドアな私。サングラスの使用は主に街歩きや仕事の移動となると、ネオコントラストのほうが出番は多いかも? レンズ選びって、本当にかける人のライフスタイルと深く関わっているんだなぁ、と改めて感じさせられますね。
※ 偏光レンズ:
「偏光膜」という特殊なフィルムが入っているレンズで、光を一定方向にのみ通過させるような加工がされているため、自然光を通し反射光のみをカットするという効果がある。
Kodak Lens(コダックレンズ)
オフィシャルサイト:http://sajapan.jp/
東京都生まれ。出版社勤務を経て、2006年にライターとして独立。メガネ専門誌『MODE OPTIQUE』をはじめ、『Begin』『monoマガジン』といったモノ雑誌、『Forbes JAPAN 』『文春オンライン』等のWEB媒体にて、メガネにまつわる記事やコラムを執筆してい る。TV、ラジオ等のメディアにも出演し、『マツコの知らない世界』では“メガネの世 界の案内人”として登場。メガネの国際展示会「iOFT」で行われている「日本メガネ大賞」の審査員も務める。