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【鯖江のアイデアマン KISSO代表・吉川精一さんインタビュー】「めがねで夢を描け!」ものづくりの未来ここにあり

【鯖江のアイデアマン KISSO代表・吉川精一さんインタビュー】「めがねで夢を描け!」ものづくりの未来ここにあり

| めがね新聞編集部

理想を現実化して、結果に繋げるために

吉川さんは、鯖江の地域活性化にも積極的に関わっていますよね。例えば、鯖江駅から眼鏡会館までの道中に様々なめがねのモニュメントが飾られている「メガネストリート」も、キッソオの社員である義弟さんのアイデアだと伺いました。

吉川ちょうど10年前から「鯖江ギフト組」という、めがねの材料や技術で新しいもの作りを始めようというプロジェクトが立ち上がり、当社も参加して今のアクセサリーが出来上がりました。
この鯖江ギフト組の勉強会の中で、今から3年くらい前にコンサルタントとして入ってもらった方から、「まずは“夢を描いて、夢を絵にしましょう”」というお話を伺いました。その時に僕とキッソオの社員(義弟)が描いた夢が、「めがねのテーマパーク」を作るという、偶然にも全く同じ絵を描いていたんです。

「めがねのテーマパーク」! しかもお二人とも同じ事を考えていたなんて、なんだか運命を感じますね。その時のアイデアはどういったものだったのでしょう!?

吉川簡単にいうと、「鯖江に来れば色んな楽しい体験ができるよ」ということです。鯖江市は毎年「鯖江市地域活性化プランコンテスト」を開催しています。それは、全国の大学生と地元の高校生に鯖江市の行政プランを提案してもらうというコンテストです。その大人版も開催されることになり、そこに参加した義弟のチームで出した案が「めがねのテーマパーク“メガネーランド”を作りたい」というものでした。

メガネーランドの第一歩として、「鯖江駅から眼鏡会館まで何も無いよね」という意見を元に作られたのが「メガネストリート」だったんです。駅から眼鏡会館までの道のりにめがねを散りばめて、視覚で楽しめるようなストリートというコンセプトです。

【鯖江のアイデアマン KISSO代表・吉川精一さんインタビュー】「めがねで夢を描け!」ものづくりの未来ここにあり
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なるほど、「メガネストリート」は、これから出来るであろう「めがねのテーマパーク」の予告のようなものなのですね…! ところで、鯖江市には高校生や大学生などの若い人たちの意見を取り入れるという「仕組み」があるんですか。

吉川やっぱり若い人がいないと、新しいものが生まれてこないと思うんです。8年ぐらい前に、めがねに関わる企業の若手経営者の勉強会「SBW」(Sabae Brand Working Group)を、ボストンクラブの小松原一身さん(現眼鏡協会副協会長、現眼鏡工業組合理事長)が立ち上げました。
若手を中心に、マーケターやクリエイターの方を呼んで、「めがねのまちさばえ」のブランディングやそのためのPR、マーケティングをそこで学んでいます。

それがきっかけとなり、めがねフェスの開催や“TOKYO MEGANE FESTIVAL”への参加が始まりました。

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TOKYO MEGANE FESTIVALでは、ブレスレット作りのワークショップを開催。

若い人が、鯖江のこれからのものづくりを考えて出たアイデアだったんですね。

吉川若い人が運営をして、若い人の感性でやると、若い人が来てくれて盛り上がるんですよね。めがねだらけのお祭りとか、他にはないことをするとメディアから注目されるようになりますし。

年々、めがねフェスの来場者も増えています。認知度も上がってきているという実感もあるのではないでしょうか?

吉川以前「鯖江ギフト組」で作った雑貨を販売したいけれど、どこで売ろうとなった時に、当時の鯖江眼鏡協会・会長の黒田一郎さん(現鯖江商工会議所会頭)が、「めがねミュージアムに売り場を作ってみてはどうだろう。」と言ってくださったんです。伝統的なものを守りながら新しいものを取り入れるという、今までに無い取り組みをしていると評価してくださって。「高級なめがねを売るための場所なのだから、そこに雑貨を置くのはどうなのか」という反対意見もあったんですが、黒田さんの一声で販売できることになりました。

僕らの取り組みが、めがね業界の人にも理解してもらえたんだと嬉しかったです。そして実際、販売したところ一番売れたのがチタンの耳かきの雑貨だったという事実も、より浸透していくきっかけにもなりました。また、この実績をもとに当社のアセテートを使った耳かきの開発につながっています。
そういった地元やめがねの産地の人への信頼を得ることが、何よりも大切と感じています。

【鯖江のアイデアマン KISSO代表・吉川精一さんインタビュー】「めがねで夢を描け!」ものづくりの未来ここにあり

若いエネルギーで盛り上げるイベント作り

福井は現在、めがねフェスだけでなく、産業観光イベント「RENEW(リニュー)」にも参加していますね。「RENEW」は、福井のものづくりの工房の見学やワークショップなどを体験しながら、商品を購入することができます。地域の伝統や文化を新しいスタイルで発信していますよね。

吉川「RENEW」は鯖江市河田地区の若いグループ「TSUGI」の代表・新山さんと、その当時河田区長をされていた、SBWのメンバーの谷口眼鏡の谷口社長(現協会副協会長)が立ち上げたプロジェクトです。
彼らは、2004年の福井豪雨で水害に遭った鯖江の河和田地区に災害支援活動で、“アートで街を復興させる”というコンセプトから始まった「アートキャンプ」に来た大学生たちのメンバーでした。

その学生たちの一部が鯖江に移住して、市役所やめがねや漆器の企業に就職したという事もあり、本格的に河田地区や鯖江を盛り上げようと「RENEW」を立ち上げ、さらにリニューアルしていき、現在の形になっています。

【鯖江のアイデアマン KISSO代表・吉川精一さんインタビュー】「めがねで夢を描け!」ものづくりの未来ここにあり

現在RENEWでは、福井の中で参加する地域がどんどん広がり、そこで体験できる伝統工芸の種類が増えています。更にその地元の飲食店なども参加して、規模も広がっていますね。

吉川福井の丹南地区の伝統工芸は、越前漆器・若狭塗和紙・越前打刃物・越前箪笥(たんす)・越前焼の5つに、眼鏡・繊維の産地を加えて7つのモノづくりの産地があるんですよ。こんなに歴史あるものづくりのバリエーションに富んだ地域は他に無いですからね。

2017年には、「大日本市」とコラボし、「RENEW×大日本市鯖江博覧会」として開催をしました。こうして全国で知られるようになり規模が大きくなる事によって、県内外のボランティアスタッフが沢山入り、鯖江に移住する若い人も増えてきているんですよ。

地域に受け継がれている伝統文化の魅力が、若い世代に伝わっているということですね。

吉川しかもRENEWはスタッフがほとんどが学生なんです。そうすると、学生が自分たちの友達を呼んだりSNSで情報を拡散するので、さらに若い子が参加し盛り上がって活気が出るという良い循環ができていると思います。

しかも、ほとんど行政から金銭的な援助を受けていません。スタッフは全員ボランティアでやってもらっていますし、なるべくコストをかけずに、どうやってイベントをPRするかという事やマーケティングの勉強会も続けています。イベントをするからにはこういった部分もしっかり固めて、毎年継続したものにしていくというのが大事ですからね。

【鯖江のアイデアマン KISSO代表・吉川精一さんインタビュー】「めがねで夢を描け!」ものづくりの未来ここにあり

地域活性化のために、若い人たちの考えを取り入れて今までに無い新しいものを生み出すという鯖江みんなの行動が、今まさに形になってきているところなんですね。最後に、吉川さんが今後実現したいと考えていることを教えてください。

吉川KISSOのアクセサリーが、めがね屋さんとお客様をつなぐ橋渡しのような商品になればと思っています。めがねフレームと同じ素材でできているので、アクセサリーをめがね屋さんで磨いてもらうことができるんですよ。磨けば艶が出るんですよね。だから、定期的にアクセサリーも磨きに来てくださいと言えば、めがね屋に行くきっかけにもなりますし。それに、めがね屋にめがねじゃないものがあってもいいじゃないですか!

そうやって、めがねもアクセサリーももっと多くの人に楽しんでもらえればいいなと思っています。

アクセサリーがめがね屋さんに行くきっかけになるというのも新しい発想ですね! これからも吉川さんから、どんな新しいアイデアが生まれてくるのか楽しみです。ありがとうございました!

【鯖江のアイデアマン KISSO代表・吉川精一さんインタビュー】「めがねで夢を描け!」ものづくりの未来ここにあり

※1 中川政七商店 :
減少の一途を辿っている日本の工芸を元気にするというビジョンのもと、生活雑貨や工芸品の製造販売を行なっている。近年では工芸の産地へのコンサルティングや地域活性事業なども行う。

※2 山田遊:
南青山のIDEE SHOPのバイヤーを経て、method(メソッド)を設立し、フリーランスのバイヤーとして独立。ショッププロデュースやインベントのプランニングなどでも活躍中で、目利きとして知られる。

KISSO(キッソオ)

株式会社キッソオ
住所:〒916-0019 福井県鯖江市丸山町4-305-2
電話:0778-54-0355

オフィシャルサイト:
http://kisso.co.jp

Instagram:
https://www.instagram.com/kisso_official

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