【伊藤美玲のめがねコラム】第5回 「とにかく試着!」
前回のコラムで、似合うめがねを見つけるには“ひたすら試着する”ことが一番の近道だってことをお話ししました。
服でも「可愛い!」と思ったものが着てみるとイメージと違ったり、着心地がイマイチだったり、お店の人がすすめてくれた予想外のものが似合ったりすることがあるように、めがねも試着してみないとわからないことはたくさんあります。
それにやっぱり、いろいろ掛けていくうちにサイズ感や色など、自分に似合う感じがわかってくるもの。「似合うめがねがわからない」というのは、めがね選びの経験値の少なさに起因するものなんです。きっとね。
だから試着は本当に大切。でも試着は面倒!? いえいえ、服と違って試着室に入る必要もないし、面倒な服の脱ぎ着もない。ただサっと掛ければいいわけですから、どんどん掛けたらいいんです。
逆に、試着室がないからこそ「自分がめがねを掛けている姿を見られたくない」なんて意見もありそうですが、試着する姿すら見られたくないようなめがねを選んでしまっては、その後も堂々と掛けられないことは明らか。このときばかりは恥ずかしがらずどんどん試着して、自信をもって掛けられるめがねを見つけましょ。
そもそも、恥ずかしいという感情は自分がめがねを掛け慣れていないことから起こるものであって、本当はそんなふうに思うことなんてまったくないのですから。
というわけで、今回は試着のときに気を付けたいことを少しばかりご紹介したいと思います。
めがねの試着って、手鏡とか商品棚に付けられた小さな鏡だけでチェックすることが多いですよね。もちろんそれも大切だけれど、そのあと必ず全身鏡でのチェックを忘れずに。自分の着こなしとめがねのバランスをチェックすることも似合うめがね探しには欠かせないし、遠目で見ると「思ったよりフレームの主張が弱いかも?」なんて感じることも。全身のバランスって結構大事です。
じつは私も、めがねを好きになり始めた頃はこの全身チェックの重要性に気がつかず、何度か失敗したものです。デザインも気に入ってるし、顔にも合っているのだけど、どうも普段の着こなしとチグハグな印象になってしまうという……。すべてのバランスが取れてこそ“似合うめがね”になるってことを、身をもって知りました。
それゆえ、めがね選びの際はそのめがねを掛けるときの服装で試着をするってことも忘れずに。つまり仕事用のめがね選びならスーツで、といった具合にね。そのほうが、後からイメージと違った!なんてことになりにくいです。
視力が悪い人は、スタッフさんに自分のスマホやお店のタブレット端末などで全身写真を撮ってもらい、それをチェックするのもいいでしょう。せっかく写真を撮るなら、ぜひ横顔のチェックも。人はいろいろな角度から見られていますからね。テンプルの太さだけでも印象は変わってくるものです。
ある程度候補が絞られてきたら、屋外または外光の入るところでもチェックできるとベター。たとえば深いパープルのプラスチック生地など、店内の照明では黒っぽく見えていたのが、外で見ると本来の色が際立ち印象が違って見えるなんてことも。サングラスのレンズカラーもしかりです。サングラスの場合視界のチェックもしたいところ。私は可能な限りビル内のめがね屋さんでも、スタッフさんにお願いして一緒に外へ出てもらいます。
……あれ、これ以上細かいことを言い出すと、ますます試着は面倒だって思われてしまうかしら(汗)。これはあくまで私の試着時のチェック事項。でも、ひとつでも「なるほど!」と思うことがあれば、ぜひ実行してみてくださいね。
東京都生まれ。出版社勤務を経て、2006年にライターとして独立。メガネ専門誌『MODE OPTIQUE』をはじめ、『Begin』『monoマガジン』といったモノ雑誌、『Forbes JAPAN 』『文春オンライン』等のWEB媒体にて、メガネにまつわる記事やコラムを執筆してい る。TV、ラジオ等のメディアにも出演し、『マツコの知らない世界』では“メガネの世 界の案内人”として登場。メガネの国際展示会「iOFT」で行われている「日本メガネ大賞」の審査員も務める。