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レンズってどうやって選べばいいの?② 〜乱視編〜

レンズってどうやって選べばいいの?② 〜乱視編〜

| めがね新聞編集部

めがねは毎日身につけるものだから、フレームだけでなくレンズも自分に合ったものを選びたいですよね。けれども、レンズの構造は一度聞いただけではよく理解できず、結局値段だけで判断しがちです……。

「めがね新聞」では、レンズ選びに生かせる「レンズの知識」を、ニコンメガネ加藤さんご協力のもと連載していきます! レンズは目の状態によって適したタイプが変わってくるため、まずは自分の目の状態を理解することが必要です。これから、それぞれの目の状態に分けて、ひとつずつ詳しくレンズ選びのポイントを紹介します。

今回は「乱視」補正のためのレンズ選びについてお届けします。

乱視って何?

眼科やめがね屋で自分の視力を調べた際に「乱視が入っていますね」と伝えられると、「乱視!? 私の目に大変なことが起きているのでは?」と心配になってしまう人は多いのではないでしょうか。しかし、実は「乱視がまったくない」という人の方が少ないかもしれません。乱視補正は、「乱視のある・なし」ではなく、「乱視の強度」による問題だと捉えた方がわかりやすいでしょう。

では、まず乱視があるとどのような見え方になるのでしょうか?

レンズってどうやって選べばいいの?② 〜乱視編〜
(図1)

(図1)の「乱視の見え方」の図のように、例えば乱視では縦方向の線にはピントが合いますが、横方向の線にはピントが合わずにぼやけてしまい、見え方に不均等が起こります。このような見え方になると、実生活においては“6”と“8”が判別しにくくなったり、図1にある放射線図のように線の太さに差がついて見えたりします。

このように見えてしまう主な原因は、角膜の変形にあります。
角膜はレンズとしての機能を持っているので、角膜の形が変形をきたしてしまうと、近視や乱視、遠視などが発生します。

レンズってどうやって選べばいいの?② 〜乱視編〜
(図2)

(図2)の左の写真のように、角膜は完全な球面であると理想的な見え方につながりますが、右の写真のようにどちらかの方向につぶれた形に変形すると乱視の原因につながることがあります。なぜなら、角膜が完全な球面ではない、つまり縦方向と横方向で違うカーブを描いていると、縦方向と横方向でピントが変わってしまい、同じようにピントが合わなくなってしまうからです。しかし、最初にお伝えしたように角膜が「完璧な球面」を描いている人は珍しく、多少は変形しているものです。

そのため、乱視は特別な目の状態ではなく、強度による問題ですので、「乱視」という言葉への過度な心配はご無用です。

乱視のレンズ選びのポイントって?

乱視を補正するレンズとは、どんなレンズなのでしょうか。
乱視を補正する場合は、「乱視用の度数でつくられためがねレンズ」を使います。「乱視用の度数でつくられためがねレンズ」とは、1枚のレンズにふたつの異なる度数が混在するレンズのことを指します。例えば、縦方向と横方向に異なる度数を持っているようなレンズです。つぶれた角膜の方向に合わせて、度数を補正します。

乱視は遠視や近視、老視などに併発して起こります。乱視を補正するレンズは、「1枚のレンズにふたつの異なる度数が混在する」ことができるので、そのような状態にも対応が可能です。

乱視用には、(単焦点レンズを選ぶ場合)「両面非球面」というレンズがおすすめです。「両面非球面」レンズは、混在するふたつの度数を両方とも「非球面」という技術で隅々までよく見えるように設計してあるからです。

レンズってどうやって選べばいいの?② 〜乱視編〜
(図3)

また、乱視用の度数でつくられたレンズは、ふたつの度数の間の方向が見えづらくなることがあります。特に乱視の方向が斜めに基準を置く場合(図3「斜乱視」参照)には、この見えづらい部分が正面にきてしまうので、見え心地にやや不満が残ることが多いでしょう。このようなときに強い味方となるのが、「オーダーメイドでつくる単焦点レンズ」です。このレンズでは、異なるふたつの度数間での見え方も、その人に合わせて最適な見え方に調整できるからです。乱視があり、めがねでの見え方で悩みがある人には、特におすすめのレンズです。
(遠近両用レンズにも様々な種類やグレードがありますので、乱視があり、見え方に不満がある人は、ひとつ上のグレードのレンズを試してみることをおすすめします。)

最後に、自分に合わせて補正されたレンズを、試しがけするときのチェックポイントをお伝えします。確認してほしい見え方のポイントは、ふたつ。ひとつは、数字や文字あるいは表の罫線など「縦横に交差したものがきれいにハッキリ見えるか」です。もうひとつは、「見え方に違和感がないか」です。クラクラしたり、歩くのが怖かったり、ものが大きくゆがんで見えたりする場合は、乱視の補正が強すぎ、その人にとって慣れづらい度数であることが考えられます。
このふたつのポイントをしっかりとチェックしてみてください。

次回は、「レンズってどうやって選べばいいの?〜老視編〜」をお届けします!

監修:加藤宏太郎

1987年に日本光学工業株式会社(現・株式会社ニコン)に入社。以来長年に渡りめがねレンズの仕事に携わり、研究開発、生産技術、海外マーケティング、国内マーケティング、国内営業を歴任し、現在、丸の内にあるめがね店「ニコンメガネ」の取締役社長とレンズメーカー株式会社ニコン・エシロールの教育本部長を兼任している。

ニコンメガネ

住所:東京都東京都千代田区丸の内2-5-2(三菱ビル1階)
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