メガネガコンプレックスデイ 第2回「マイ・ファーストめがね」
さて、中学にあがるタイミングでいよいよ「めがねをつくる」という話になった。
うれし恥ずかしマイ・ファーストめがね。
喉から手が出るほどめがねに憧れていた私は
ついに手にしためがね生活を嬉々としてスタートさせた。
が、蜜月はそう長くは続かない。
理由は単純。
「なんか…めがね、しんどい…」。
視力が低下してからも裸眼でやり過ごしていた期間が長かったせいか、
めがねを装着したときと
そうでないときの視界のギャップ!
これに慣れずに四苦八苦。
(さすがに今はもう慣れました。)
めがねをかけると距離感がうまくつかめず超ストレス!
フレームの境に見える「元の世界」と「矯正後の世界」が生み出す
画像のヨレに酔っちゃって長時間かけ続けられない。
かけたままだと階段の昇り降りや全力疾走、スポーツもうまくできない。
そして耳に感じるめがねの重さ、頭の側面に感じるツルの束縛、
そして鼻あて部分の圧迫感。
これらにもなかなか馴染めず
結局はほとんどかけなくなってしまった。
(今はめがねのフレームもレンズも高性能になり
そんなわずらわしさはなくなったけれど
私のように昔の記憶がトラウマとなり
かけていない人って多いのではないだろうか…。)
めがねへのあの憧れと情熱はどこへやら…。
身勝手にも程がある。
しかし、幸か不幸か
ただいたずらに視力を低下させただけでは終わらなかった。
めがね生活を経て
そのわずらわしさを学んだからだろうか。
以降、めがねの男性が不意にめがねをはずしたのを見ると
異様にキュンとするようになってしまった…。
「わかる! めがね疲れるよね!!!」
「長時間かけていると頭の周囲が痛くなることあるよねー」
「鼻あての跡がついて赤くなっちゃうの気になるよね!」
等々…。
(↑実はこれフィッティングがあっていないだけらしい。)
もうその瞬間、心の中は大共感の嵐。シンパシー半端ない。
めがねを経験したことで、私のめがね萌えは明らかに加速した。
めがねのわずらわしさと引き換えにしてでも
めがねを必要とせざるを得ない状況と、
それを黙って耐え忍んでいるであろうという
勝手な妄想だけでも良い人ポイント高いのに、
そんな人が「めがねをはずす」ことで
めがねのわずらわしさからちょっとだけ逃避している姿に
無意識レベルの隙と弱さを垣間見た気がして…。
思わずキュン! となるのだ。
大丈夫、君はいつも頑張っている!
たまには一息ついていいんだよ!!
そう応援してあげたくなる。
あげたくなっちゃうんだよなー。
あ、そうか。
だから好きになりやすいわけか、めがね。
やっぱりめがねは魔法の特殊装置だ。
【イラスト】 P:ggy(ぴぎー)