【伊藤美玲のめがねコラム】第1回 「眼鏡ライターって?」
はじめまして。今回からめがね新聞でコラムを担当させていただくことになった、眼鏡ライターの伊藤美玲です。
「眼鏡ライターってどんな仕事!?」…そう思った方も多いでしょう。
車や映画、スポーツなどに特化したライターさんがいるように、私は眼鏡業界を中心に取材をしています。「ファッションのなかでも眼鏡に特化したライター」と考えるとわかりやすいかもしれません。
じつは眼鏡業界では春はミラノ、秋はパリで国際的な眼鏡の展示会が行なわれ、各ブランドの新作が発表されているのですが、それらをチェックしてトレンドの動向を把握するのも仕事のひとつ。眼鏡デザイナーさんに自身のモノづくりについて思いをうかがったり、眼鏡を愛用しているスポーツ選手や芸能人にインタビューすることもしばしばです。
また眼鏡がどのように作られているかを知るべく、眼鏡フレームやパーツの工場、レンズ工場の取材に行くこともあります。鯖江の工場はもちろん、フランスやドイツ、デンマークまで取材に行ったことも……。
とにかく眼鏡にまつわることならなんでも取材。そこで得たことを眼鏡の専門誌やモノ雑誌、ファッション誌の眼鏡特集などで執筆しています。ときどきラジオやテレビなどで眼鏡について話したりもするので、もしかしたら『マツコの知らない世界』で私のことを知った、という方もいらっしゃるかもしれません。
では私はなぜ、どうやって眼鏡ライターになったのか。
ひと言でいえば、「好きが高じて」です。もともと私は眼鏡が好きなふつうの会社員でした(なぜ眼鏡好きになったのかはまたの機会にお話しします)。勤めていた出版社を辞めてライターとして独立したときも、とくに専門分野を決めずに仕事をしていました。
でも「いつかは眼鏡の記事を書いてみたいな」と思って見学に行った、とある眼鏡の展示会でのこと。取材中だった某モノ雑誌の編集者さんに「眼鏡が大好きなライターなんです!」と逆ナンよろしく名刺を渡したところ、後日電話が。なんでもそのとき一緒に取材していたライターさんが急に連絡がつかなくなったそうで、「展示会についての原稿を書きませんか?」と依頼がきたのです。
締め切りはなんとその当日だったのですが、もちろん快諾。それが眼鏡ライターとしてのデビュー仕事となったわけなので、ほんと人生何が起こるかわかりません。
ほかにあまり眼鏡に特化したライターさんがいなかったこともあって、その後もいろいろな媒体からお仕事をいただけるようになり、現在に至っています。
駆け出しの頃は知らないことも多く、めがね業界の方々に教わりながら必死に勉強し仕事をしていました。いや、今でもまだまだ教わることばかり。なので自分の力で眼鏡ライターになったというのはおこがましく、業界の方々によって眼鏡ライターに育ててもらった、というのが正直なところです。
こうした経歴ですので、眼鏡ライターとしてのキャリアが10年になった今も眼鏡が大好きですしミーハーな気持ちもそのまんま。好きなブランドのデザイナーさんに会ったり、新作が発表になるときは、今でもワクワクします。
ひとりの眼鏡好きとして、「眼鏡ってこんなに楽しいんだよ!」「世の中にはこんなに素敵な眼鏡があるんだよ!」ってことをたくさんの人に伝えていきたい。
それが私の使命だと思っていますし、このコラムを通じて少しでも多くの人に眼鏡の魅力について伝えることができれば幸いです。これからどうぞよろしくお願いします!
東京都生まれ。出版社勤務を経て、2006年にライターとして独立。メガネ専門誌『MODE OPTIQUE』をはじめ、『Begin』『monoマガジン』といったモノ雑誌、『Forbes JAPAN 』『文春オンライン』等のWEB媒体にて、メガネにまつわる記事やコラムを執筆してい る。TV、ラジオ等のメディアにも出演し、『マツコの知らない世界』では“メガネの世 界の案内人”として登場。メガネの国際展示会「iOFT」で行われている「日本メガネ大賞」の審査員も務める。