【伊藤美玲のめがねコラム】第105回「私がめがね屋さんに求めること」
いやぁ、暑い日が続いていますね。夏といえば例年めがねの仕事が落ち着く時季なのですが、今年はなんだかバタバタしています。ありがたいことです。
忙しいのは良いのだけど、少々つらいのがプライベートでめがね屋さんに行く時間が取れないということ。めがねの原稿は、毎日のように書いているというのに。これぞ紺屋の白袴? いや、私はめがね屋さんではないからちょっと違うか……。まぁ、それはいいとして。
なかなかお店に行けないのは、1度めがね屋さんに行ったら短時間では済ませたくないから。世の中には10分程度で測定が終わると謳っているお店もあるけれど、私は自分の信頼しているお店で、じっくり話を聞いてもらいながらめがねを作りたいのです。
求めるのは「相談しやすい」お店であること
というのも、最近はなんだか以前よりも近くが見えにくくなっているような気がしていて。もうサポートレンズでは、サポートしきれていないのかもしれません。老眼世代に突入しているから、その辺りはしっかり測定してもらいたい。それに加え、最近屋外では薄色レンズだと物足りないから、濃度50%ぐらいのサングラスを度付きで作りたいなぁと思ったり。度付き&濃いレンズとなったら、フレームはどんなデザインがしっくりくるかしら? なんて相談もしたい。あぁ、それに調整してもらいたいフレームもいくつか……。いやはや、お願いしたいことがたくさん。
これって欲張り過ぎ!? でも、使う側としてもせっかく作るなら、納得のいくものを作りたい。そのためには、こちらもしっかり要望を伝えることが大事だからあれこれ話をしてしまうし、わからないことは質問もする。そんなことをしていると、あっという間に時間が過ぎてしまうんです。
まぁ、たしかに滞在時間が長くなると、ちょっと申し訳ないなと思うこともあります。それでもやっぱり、あとから不満を抱えてしまうことがないよう、コミュニケーションは大事。ですから、自分好みのフレームが置いてあることも大事だけど、「相談しやすい」というのはお店選びの大事な要素になると私は思います。
これまで、めがね好きとして、そしてライターとして、いろいろなお店でめがねを購入してきました。そのなかでも、自分にとって“行きつけ”にしたいお店といえば、結局は納得いくまで相談できること、そしてその相談内容に応えてもらえる技術のあるお店に絞られていることに気が付きます。
そういうお店はどうやったら見つけられるの? と聞かれたりもするのですが、正直なところ“相談しやすさ”などのコミュニケーションの部分は、人により好みが違ったりするので、一概におすすめを教えてくれと言われても難しいのも事実。私自身も、これまでいろいろなお店でめがねを作ってきて、ようやく自分がお店に求めるものがはっきりしてきた感じです。こればかりは、自分で何店舗か回って、まずは実際に足を運んで、接客を受けてみるのが一番の近道かもしれません。最近ではお店のSNSも充実しているから、まずはそちらをチェックしてみるのもいいでしょう。
自分の目のことに加え、仕事のこと、家庭環境、ライフスタイルのことも知ってくれている“行きつけ”があると、めがね生活の質をぐっと上げることができます。本当は、そんなお店が近所にあれば最高なんですけどね。残念ながら私の行きつけは遠方が多いので、まだまだお店に行かれない日が続いてしまいそうです……。
東京都生まれ。出版社勤務を経て、2006年にライターとして独立。メガネ専門誌『MODE OPTIQUE』をはじめ、『Begin』『monoマガジン』といったモノ雑誌、『Forbes JAPAN 』『文春オンライン』等のWEB媒体にて、メガネにまつわる記事やコラムを執筆してい る。TV、ラジオ等のメディアにも出演し、『マツコの知らない世界』では“メガネの世 界の案内人”として登場。メガネの国際展示会「iOFT」で行われている「日本メガネ大賞」の審査員も務める。