【マンガ家・磨伸映一郎先生と巡る!】めがねフェス2018徹底解剖〜後編〜

めがねをこよなく愛する漫画家・磨伸映一郎先生と送る「めがねフェス2018徹底解剖」、いよいよ後編です! 前編に引き続き、「めがね愛」全開のレポートをお届けします!!

めがねフェス2018

日程:2018/6/9(土)・10(日)
会場:めがねミュージアム 鯖江市文化センター前駐車場特設会場
(福井県鯖江市新横江2−3−4)
主催:一般社団法人福井県眼鏡協会
http://meganefes.com/

後編では、「めがねよ、ありがとう」というコンセプトの意義から、めがねミュージアム内のおすすめ、そして気になる「ポップアップギャラリー」の模様まで、「めがねフェス」を隅から隅までご紹介します。

        

「ありがとう」ってみんな言おうぜ!

レポート後編は「めがねよ、ありがとう作文」の表彰式からスタート!

今年初めて開催された「めがねよ、ありがとう作文」の表彰式が始まりましたね! なんと全国各地から232通の応募があったそうです。

先生ああ、自分も参加したかったなあ。本名と住所がバレちゃうから断念したんですけど。

もし参加してたらどんな作文を書いてました?

先生そうですねー。「カステラの法則」というものがありまして、例えば普段から「僕はカステラが大好き!」と言っていると、誰かが「そういえば、磨伸先生はカステラが大好きって言ってたよな。」とお土産なんかでカステラを買ってきてくれる、という感じで「○○が好きだ!」という事を言い続けていると、それが現実になるという事があります。だからできる限り「大好き!」「面白い!」「素敵!」と楽しそうに情報を発信していけば、それが思わぬ展開に結びつくことがあります。「好き」はつながっていくんです。実際「めがねが大好きだ!」と長年言い続けることによって生まれた、めがねにまつわる縁やお仕事は数知れませんし、現にこうして今もめがね新聞さんにもインタビューして頂いている訳で!

ああ、確かに自分もそういった経験があります! その時は単に「ラッキー!」と思ったのですが、今思えば「カステラの法則」だったのかもしれませんね。

先生要するにポジティブな情報を発信することで、自分にとっても良いサイクルが生まれるんです。もちろん、これはめがねについてもそうですし、それに限った話でもありません。

趣味でも何でも、好きなことをどんどん発信していくべきだと。

先生その通りです。少なくとも自分はネガティブな情報はあまり発信しないようにしたいと思ってます。思ってるだけで実際はなかなか、こう、難しいんですが。でも、こうしたことを気づかせてくれためがねに、自分は「ありがとう」と言いたい。そんな内容の作文を書こうと思ってました。

なるほど! そう言われてみれば「めがねよ、ありがとう作文」自体がそういう企画ですよね。めがねに対するポジティブな感謝の気持ちをみんなどんどん発信していこうよっていう。先生は、ついさっきもめがねフェスについてツイートしてましたよね(笑)。

先生「こんなすごいものを見たよ!」ってみんなと共有したいですからね。そこで新たな繋がりが生まれるかもしれませんし。

うーん、考えてみればみるほど、今年の「めがねよ、ありがとう」っていいテーマですね。

先生本当に。みんなどんどん「ありがとう、だいすき」を言うようになれば、めがねも鯖江も、もっと楽しくなるんじゃないでしょうか。

「めがねよ、ありがとう作文」の入選作品は下記のリンクから読むことができます。
期間限定公開なのでお早めに!

http://meganefes.com/sakubun

めがねフェスに来たなら、やっぱりめがねミュージアムへ!

ちょっと気が早いんですが、お土産を見に行きませんか?

先生それなら、めがねミュージアムに行きましょうか。

「何回来てもいいですね」と磨伸先生

おおー、充実してますね。何を買ってこうかなあ。

先生まあゆっくり選んで下さい。自分は増永五左エ門翁(ますなが ござえもん)に挨拶してきますから。

迷った末に選んだのは「めがね最中」
鯖江のめがねの礎を築いた増永五左エ門

先生ミュージアム2階のMUSEUM CAFÉは入ったことありますか?

そういえばまだ無いですね。

先生なかなかの穴場でいいお店ですよ。ちょっと寄っていきましょう!

2階にあがると、ミュージアム入り口の天井のオブジェがめがねで出来ていることがよくわかります。

先生いいお店でしょう? コーヒーでも飲んで休憩しましょうか。

いいですね! では休憩ついでに、先生がめがね好きになったきっかけを教えてもらえますか?

先生自分の場合、入り口はギャルゲー(※1)でした。一番最初の「ときめきメモリアル」(※2)なんですけど。そもそもはギャルゲー自体に興味がなかったんですよ。当時は格闘ゲーマーでしたし。でも、友人に「騙されたと思って一度プレイしてみろ!」と言われ、そんなに言うならばと、試しにと軽い気持ちでプレイし始め、気づいたら三日くらい徹夜していて。

めちゃくちゃハマっているじゃないですか(爆笑)!

先生もう、衝撃波が出る勢いで手のひらをクルッと返すかのように(笑)。如月さん(めがねがトレードマークのキャラクター)最高だな!!と。ここで初めて、自分が「眼鏡っ娘」が好きだったんだと自覚しました。

MUSEUM CAFÉのコースターにはめがねネタが! さすが芸が細かい!!

「眼鏡っ娘」は好きだけれど、モノとしての「めがね」自体には興味が無いって人も多いと思うんですよ。それが、なぜ先生はめがね自体の魅力にも目覚めていったんですか?

先生「眼鏡っ娘好き」が、その愛をこじらせていくと大体ぶち当たるのが「眼鏡っ娘がめがねを外したら、その子を嫌いになるのか? その場合、お前が愛していたのは“眼鏡”なのか? “娘”なのか?」ってテーマなんです。

……ふむふむ。

先生「俺は一体何が好きなんだ?」っていう問いが芽生えるんですよ。で、そこから「そもそもめがねとは?」と疑問が膨らんでいって、めがねの歴史とかを勉強し始める。それで気づいたら、めがね自体が大好きになっているという。

……なるほど……ちなみに「眼鏡っ娘がめがねを外したら、その子を嫌いになるのか」問題に、結論は出たんですか?

先生うーん、自分としては「眼鏡っ娘」っていうのは、「魂の在り方」であり、「心の器」なんです。

すみません、え?…「こころのうつわ」?…えっ…?

先生西洋哲学的にはイデア、東洋哲学的に言えば薫習(くんじゅう)と阿頼耶識(あらやしき)とかかそういった概念が……(中略)……ってことなんですが、細かい事は置いといて、結論だけ言えば「眼鏡っ娘かわいいにゃー」と言い続けていればいいんですよ! 小難しいことは抜きにして、「かわいい」ということを発信すればいいんです!

なるほど、小難しいこと抜き……!

※1 ギャルゲー:
「ギャルゲーム」の略で、魅力的な女性が登場人物となっているゲームの俗称。
※2 ときめきメモリアル:
1994年にコナミ(現・コナミホールディングス)から発売された恋愛シミュレーションゲーム。大ヒットし、この分野のゲームのパイオニアとなった。

ポップアップギャラリーはめがねの多様性を映している

レポートの締めはポップアップギャラリー!

「ポップアップギャラリー」で気になったブランドはありましたか?

先生やっぱりいつ見てもFACTORY900さんはすごいですね。あの6つレンズが付いてるモデル。どういうシーンでかければいいかわからないんですけど、欲しいか欲しくないかで言えば、絶対欲しい。

さっきかけている方いらっしゃいましたよ。
【めがねフェス2018】おしゃれめがね人たちの集い 〜前編〜に登場されています!)

先生本当ですか! やるなあ。さすがめがねフェス!! FACTORY900さんに限らず、ここにきて更にフレームの自由度が高くなってきたというのが全体的な印象です。スタンダードにかっこいいものから、奇抜で目を引くものまで、選択肢の幅が広がってきたと思います。


ポップアップギャラリーのめがねはどれも甲乙つけがたいというか、本当に多様ですよね。

先生これは鯖江の技術力の高さももちろんあると思うんですが、実はいわゆるファストファッション的なめがね屋さんの功績も大きいと思っています。

どういうことでしょうか?

先生安価なめがねが普及したおかげで、誰でも気軽に眼鏡をその日の気分でかけ替えることが当たり前になったと思うんです。そこで間口が広がったことで、「普段は安いめがねだけど、今日はちょっと鯖江の高級はめがねをかけてみよう」とか、「ちょっと奇抜なデザインで冒険してみよう」みたいな文化が根付いてきたんだと思うんです。

つい「大量生産」VS「職人の手仕事」、みたいな構図を描きがちだけれど、そうではないと。

先生やっぱり量販店で買ったからダメだとか、伊達めがねだから良くないとか、そういうネガティブな発想ってナンセンスなんですよね。「めがねよ、ありがとう」じゃないけれど、常にポジティブに考えていかないと。「めがねってこんなにも気軽なものだよ」「めがねでこんなにもカッコよくなれるよ」と、それぞれの立場からめがねの良さをアピールしていくことが大切です。そうやって初めてめがね人口は増えるし、「ポップアップギャラリー」みたいな新しいめがね屋さんのかたちが受け入れられるようになるんだと思います。まずは裾野を広げていく、という事が大切だと思うのです。

めがねフェスよ、このまま突き進め!

今日は一日ありがとうございました! 最後に先生がこれからのめがねフェス、そして鯖江に期待することを教えてください。

先生めがねフェスはこれからも、どんどん規模を大きくして楽しくなっていてほしいですね。鯖江は「めがねの街」という今の路線で突き進んでほしい! そのために、自分も微力ながらお手伝いしたいです。

先生ご自身と鯖江が、コラボする予定などありますか?

先生今まさに進行中です。自分の漫画のキャラクター(「氷室 鐘」このページの最後に掲載されている磨伸先生のプロフィール欄を参照。)が、かけているめがねをモデルにした、いわゆるキャラクターグッズなのですが、それでもしっかりと普段使いできるデザインに仕上げたい。そのために製作から組立て、仕上げまですべて鯖江にお願いしています。

すごいこだわり!

先生自分の場合、めがねのクオリティが作家生命に関わっているといっても過言ではないですからね(笑)。

発売が楽しみです! 本日はありがとうございました。

<まとめ>

前編・後編に渡ってお送りした「【マンガ家・磨伸映一郎先生と巡る!】めがねフェス2018徹底解剖」、いかがでしたか?

磨伸映一郎先生とご一緒させて頂いて感じたのは、めがねフェスが、鯖江市が、そしてめがねを愛する多くの人々が、これまで培ってきたものの上に「めがねフェス2018」は成り立っているのだということ。

これから更に1年の月日が蓄積されると、めがねフェスはどう進化するのだろう? 今から、来年のめがねフェスが楽しみです。それにしても、磨伸先生のめがね愛、半端ない! 我々も負けじとめがねを愛し、ポジティブな情報を発信していきたいと思います。

磨伸先生、そしてめがねフェスよ、ありがとう!

【マンガ家・磨伸映一郎先生と巡る!】めがねフェス2018徹底解剖〜前編〜はこちらから!

磨伸映一郎(ましん えいいちろう)

氷室 鐘『氷室の天地』

<プロフィール>
漫画家。眼鏡っ娘とめがねをこよなく愛する。
現在『まんが4コマぱれっと』(一迅社)で『氷室の天地 Fate/school life』『氷室行進曲 Fuyuki Game Over』、『GMマガジン』(グループSNE)で『アナゲ超特急』など連載中。それぞれの主人公も当然眼鏡っ娘。その他、眼鏡っ娘を題材とするドラマ脚本執筆やトークライブなども行っている。