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めがねをとおして「縁」の大切さを学ぶ【「テクノ法要」照恩寺住職・朝倉行宣さんインタビュー】

めがねをとおして「縁」の大切さを学ぶ【「テクノ法要」照恩寺住職・朝倉行宣さんインタビュー】

| めがね新聞編集部
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福井市にある照恩寺の住職・朝倉行宣さんが行っている「テクノ法要」を知っていますか?

今年の「めがねフェス」のステージの1日目にも出演され、スクリーンに映し出された幻想的な映像と、本格的なテクノミュージックのサウンドで作り出された空間は、まるで野外で行われている音楽フェスさながらのパフォーマンス! 夜の時間帯だったにも関わらず、昼間と変わらない人の多さで大盛り上がり、幅広い年齢層のオーディエンスを釘付けに。

そして、めがね新聞の公式ツイッターでの現地レポートでお届けしたテクノ法要のステージの動画再生回数は8700回を超え、めがね新聞編集部は想像以上の反響に驚きでした!!

また曲と曲の間には朝倉住職の説法があり、そこで「今皆さんがかけているめがねのひとつひとつは、たくさんの部品の縁と縁が繋がってできているものなのです」というお話をされ、自分が毎日かけているめがねと出会ったご縁に、改めて感謝をする時間にもなりました。

実は昔めがね関連のお仕事に携わられていたことや、朝倉住職の考える“「伝統」に基づいて新しいものを生み出すこと”についてまで、じっくり伺いました!

めがねに携わることで見えてきたもの

太めのべっこう柄のフレームのめがねがお似合いで、朝倉住職のトレードマークになっていらっしゃいますが、めがねはいつ頃からかけていたのでしょうか?

めがねをとおして「縁」の大切さを学ぶ【「テクノ法要」照恩寺住職・朝倉行宣さんインタビュー】
提供:福井県眼鏡協会

朝倉実は、ずっと目は良くて…。40歳を過ぎて、目に老眼が入ってきてからめがねをかけ始めました。

すごくめがねがお似合いなので、ずっとかけていらっしゃるのだと、勝手にイメージしていました(笑)。

朝倉めがね歴は短いんですが、実は25歳ぐらいの頃から、輸出用のめがねの検査機関で働いていたことがあったんです。だから、当時めがねはかけていませんでしたが、めがねとの接点はあったんですよ。

そうだったんですか! その検査機関では、どんなお仕事をされていたんですか?

朝倉海外に輸出するめがねの強度などの計測や、めがねフレームのメッキ付けの下処理など、めがねに関わる様々な作業をやらせていただきました。そこでつくづく、めがねって手作業の部分が非常に多いんだなということや、色んな人が携わって作られていることを実感しましたね。

めがねは大きく分けて十数個のパーツで構成されていますからね。しかも、完成までに約200の工程があると言われています。

朝倉オートメーションでできないことや手作業ですることが思った以上に多くて、言葉を失うぐらいでした。大げさじゃなく、それほど驚いたんです。

めがねフェスのステージでも「めがねのパーツのひとつひとつに沢山の色んな方が携わっている」というお話をされていました。

朝倉沢山の人たちの手によって、一本のめがねが生まれているのだから、めがねってすごく大切な「縁」の塊なんですよ。当時はすでに僧侶としてお寺に入ることができる立場でもあったので、僧侶の視点からめがねのことを捉えていましたね。

若い時に出会った音楽から受けた影響が今、全てに通じている

めがねフェスでは、若い人から年配の方まで、幅広い年齢層の方々が集まっていましたね。

めがねをとおして「縁」の大切さを学ぶ【「テクノ法要」照恩寺住職・朝倉行宣さんインタビュー】

朝倉伝統的なメロディーをベースに曲を作っているので、普段からお寺で行われているお勤めに慣れ親しんだ方がテクノ法要を聴くと「このメロディー、懐かしい」とか、「じいちゃんやばあちゃんが唱えていたお経を思い出す」というご意見をいただいて、すごく嬉しかったです。

朝倉住職が、お寺で行う法要を「テクノ法要」という形で様々な場所で行うようになったのはなぜなのでしょうか?

朝倉沢山の人に、少しでも仏教に興味を持ってもらうために、何か新しい事を始めようと思ったのが始まりです。テクノ法要で読経を聞いたから心が浄化されるとか、そういういった目的で行なっているのではなく、あくまでも仏教の教えを伝える「きっかけづくり」なんです。

日本国内に限らず、海外のイベントにも沢山出演されていますよね。

朝倉そうですね。フランスのテクノイベントや、アメリカのバーニングマンというイベントにも参加させていただきました。海外で出演する時も、ステージで通訳の方をとおして仏教に関するお話をさせていただいています。僕はお寺という場所に限らず、いろんな場で仏教の教えを伝えていきたいんですよね。なので、そのチャンスをいただいたと思っていつも出演させていただいています。

めがねをとおして「縁」の大切さを学ぶ【「テクノ法要」照恩寺住職・朝倉行宣さんインタビュー】

法要をテクノミュージックに形を変えて行うという取り組みは、どのようにして生まれたのでしょうか。

朝倉実は昔から音楽が大好きで、DJの仕事をしていた事もあったんですよ。中学校の時にYMO(※)というグループに出会って音楽が好きになりました。テクノ法要ができたのはそこからの影響も受けています。

YMOのどんなところに影響されたのですか?

朝倉YMOの音楽をジャンルに当てはめるとテクノになるんですけど、実際に音楽を作っている御三方は、テクノに限らず色んなジャンルの音楽に造詣の深い方達なんです。だから、作り出される音楽がそれぞれのルーツに迫っているので、僕はYMOを通してロックやクラシック、民族音楽など、ジャンルにとらわれない様々な素晴らしい音楽に出会う事ができました。

YMOのおかげで、朝倉住職が聴く音楽の幅も広がったんですね。

朝倉最初、自分は「テクノが好き」という認識だったんですけど、徐々にジャンルにこだわるのではなく、「この曲は素敵だな」と曲そのものを感じるようになりました。面白いことは面白い、素敵なことは素敵と思える人間になりたいと思うようになったんです。

それは、音楽だけに限らずということですね。

朝倉ええ。音楽に限らず、考え方とかも。例えば自分と違った意見を持つ人と出会った時でも、「人それぞれいろんな考え方があるんだな」ということも、尊重しながら認めていきたいんです。この音楽との出会いから生まれた考え方は、常に持っていたいと思っています。「固定観念にとらわれると、正しい道筋は見えてこない」ということは、仏教本来の教えでもあるんです。

「伝統」は進化させていくもの

朝倉住職が「テクノ法要」という新しい形で、仏教を身近に感じてもらう工夫をされていることがわかりました。

朝倉お寺に行くのって、お葬式や法事の時ぐらいという方がほとんどかと思います。なので皆さんにお話を伝える機会を増やすために、今全国のお坊さんたちが色んな活動をしているんです。

他の方はどういった活動をされているんですか?

朝倉お坊さんがカウンター越しに接客してくれる「坊主バー」は、テレビなどのメディアで取り上げられたりしていますね。

東京にも何ヶ所かありますね! お酒を飲みながらお客さんが、お坊さんに人生相談をする場にもなっているとか。

朝倉新しい何かを行う・作っていくという事自体が「伝統」の根本にある考えなんです。だから、新しいものを作ってはいけないという考えは、伝統の履き違えにように感じてしまうんですよね。おそらく、当時新しいものを生み出した人は、自分がその時代の技術でできる最高のものを作っただけであって、この先ずっとその形を守って欲しいと思って作ってはいないと思うんです。それが素晴らしいものだったから、後に「伝統」と呼ばれるようになったというだけで。

「伝統」はそのままを守るべきで、形を変えるものではないという固定観念がありましたが、実はそれは後から出来た考え方なんですね。

朝倉だって、お寺やお仏壇の飾り付けを冷静に見てみると、結構派手じゃないですか?

そう言われてみれば! 装飾がたくさんあって、色彩豊かで。

朝倉「極楽浄土は光の世界」というのを、作った当時の最先端の技術を使ってあのように表現したんだと思うんです。なのでそれを現代でやるならばと考えたのが、「テクノ法要」でのプロジェクションマッピングや舞台照明を使った光の表現なんです。

今朝倉さんが行っている事が、100、200年後にはまた新しいものに変化しているかもしれませんね。

朝倉めがねも、色んな技術が出てくることで、どんどん変わっていくかもしれないですよ。

めがねも、最初は鼻にのせていたものから、テンプルが付いて耳にかけられるようになるなど、昔に比べるとかなり使いやすく進化していますよね。また、ウェアラブルめがねやスマートグラスなど、これからもどんどん新しい形のめがねが登場すると思います。

朝倉いつか、福井のどこかのめがねブランドとコラボして、「テクノ法要公式めがね」なんかができたら面白いですね!

まさに福井ならではのアイデアですね!

朝倉僕も本当にめがねが好きなので、何かめがねに関する活動もできたらと思っています。

その際は、ぜひまためがね新聞で取材させてください! 今回はありがとうございました!!

めがねをとおして「縁」の大切さを学ぶ【「テクノ法要」照恩寺住職・朝倉行宣さんインタビュー】

※YMO:
細野晴臣・高橋幸宏・坂本龍一からなるテクノミュージックのユニット。正式名称は「Yellow Magic Orchestra」。

朝倉行宣(あさくら ぎょうせん)

<プロフィール>
浄土真宗本願寺派、福井・照恩寺の17代目住職。1967年生まれ、現在52歳。
住職継承を期待されながら育つが、中高生時代からYMO等の影響を強く受け、音楽に傾倒。寺の世界から遠ざかるように大学在学中からDJや照明オペレーターとして活動し、1991年に福井の寺に戻る。2015年に父から住職を引き継ぐ。
固定概念にとらわれないプロジェクション・マッピングとテクノ・ミュージックに合わせて読経する「テクノ法要」を考案。ニコニコ超会議やアメリカのバーニングマン、フランスのDharmaTechno等のイベントや各種講演会など、寺以外の場所でも活動し、仏教を身近に感じてもらう取り組みを続けている。

照恩寺 公式サイト
https://www.show-on-g.com