【わたしはめがねのここが好き!】第2回 俳優 村上虹郎さんの場合
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めがねが大好きなクリエイターに、思う存分めがね愛を語っていただく企画、題して「わたしはめがねのここが好き!」
第2回目は、TBS系ドラマ「この世界の片隅に」の主人公すずの幼なじみ・水原哲役が記憶に新しく、また、先日行われた第31回 東京国際映画祭で東京ジェムストーン賞(※1)を受賞し、次世代を担う俳優として期待が高まる俳優・村上虹郎さんの登場です!
テレビや雑誌などで村上さんのめがね着用率が高いことがひそかに気になっていた編集部は、「あのめがねは私物なんだろうか?」「めがね好きだったら話を聞いてみたい!」と、村上さんへのインタビューを熱望していたところ、実際にプライベートでもめがねを愛用しているという情報を入手。関係者に話を聞いてみると、編集部が思っている以上にめがねへのこだわりをもった「めがね人」だということが発覚! 嬉しい!! ということで、インタビューをお願いしたところ、念願叶ってお話をお伺いできることになりました!
2018年から2019年にかけて、続々と出演作の公開が控えている村上さん。役者として、めがねは欠かせないアイテムになっているそう。ますます、めがねと村上さんの関係性が気になるところ。「こんなにめがねが似合う人っているんだなー…」と思わずめがねが欲しくなってしまう、素敵な村上さんのめがね写真と共に、お楽しみください!
自分に一番似合うめがねを“オーダーメイド”する
村上さんがプライベートで愛用しているめがねを、本日お持ちいただけたということで……早速見せていただけますか!?(興味津々)
村上「めがねをいくつか持ってきて」と言われたので、どれを持ってこようかなと迷ったのですが…今日はお気に入りのこの3つを持ってきました。
わぁ…どれもステキですね。めがねケースもおしゃれ! 真ん中のめがねはラウンド型、あとの二つはボストン型ですね。レンズが少し小さめの、丸みのあるフレームがお好きなんですか?
村上昔、親父からめがねを借りパク…借りたことがあるんですが(笑)それが丸いフレームのめがねで、すごいお気に入りのめがねだったんです。そういう形のフレームが自分の顔の輪郭にも似合うだということが段々わかってきて、それ以来丸みのある形のめがねが好きですね。
以前あるめがねブランドのサイトのインタビューで、村上さんはめがねをオーダーメイドされているという記事を拝見しました。「オーダーメイドでつくってみよう」と思ったきっかけは?
村上めがねって、「これだ!」ってピッタリくるものって少なくないですか?自分の顔のサイズだったりデザインだったりが、自分に似合うめがねって結構限られてくるので、ならばオーダーメイドしてしまおうと思いました。
確かに、「これだ!」っていう運命の一本に出会ったら、絶対にその場で買うべきだという話をよく聞きます。でも、「好きなフレーム」と「カラーレンズ」などを組み合わせる“カスタムメイド”はよく聞きますが、“オーダーメイド”までされている方は少ないかと! なぜなら、オーダーメイドができるめがねブランドって、数少ないんですよ。
村上そうなんですよ! オーダーメイドできるブランドって少なくて。「SAVILE ROW(サヴィル ロウ)」っていうイギリスのブランドがあるのですが、僕はいつもそこの日本にある支店で、自分に似合うめがねをオーダーしています。
イギリスで80年以上の歴史を有する眼鏡工房の「Algha Works(アルガ ワークス)」のブランドですね。カスタムオーダーだけを取り扱っていると聞きました。
村上めがねの老舗ブランドです。ジョン・レノンやエリック・クラプトン、ショーン・コネリーも愛用してたそうで。めがねはオーダーしてから出来上がるまで2か月はかかるんです。
それはかなり特別感がありますね! 雑誌などで撮影される場合、村上さんご自身が、めがねを取り入れたコーディネートをスタイリストさんに提案することもあるんですか?
村上実は、スタイリストさんが「SAVILE ROW」を教えてくれたんです。その人にお店に連れて行ってもらったのがきっかけです。自分は、誰とでもすぐ仲良くなるタイプなんですけど、そこはあんまりぺちゃくちゃお客さんと店員さんが話す雰囲気ではなくて、最初は「敷居が高いお店だなー」って思いました(笑)。でも、通っているうちに、最近ではお店の人の顔つきが優しくなってきたので嬉しいです。
日常にフィルターをかけてくれる「めがね」
めがねをかけている時とかけていない時で、気持ちの部分で変わったりしますか?
村上全然違いますね。俳優って、いろんなものに対してアンテナを張って、敏感でないといけないと思うんです。でも、日常で感じるもの全てを受け止め続けていると、ストレスが溜まってしまいます。だから、「めがねをかける」。そうすると、めがねがフィルターのような役割を果たしてくれて、色々なことから遮ってくれるんですよね。
繊細な感情を扱う役者という仕事ならではの、めがねの使い方ですね。11/17公開の映画「銃」では、偶然通りかかった殺害現場に落ちていた銃を手にし、密かに持ち歩き始めることによって徐々に自信に満たされていく主人公のトオルを演じられていますね。緊張とスリルを楽しんでいる中で、次第に精神的に追い詰められ崩壊していくという難しい役柄に挑戦されましたが。
村上あとから聞いたんですが、プロデューサーが監督に、「村上虹郎とリリー・フランキーは、あまり指示を出さずに野放しにしてほしい」って言っていたそうなんです。野放しって! 動物かよ、ですよね(笑)。やけに演出が少ないなって思ってたんですけど、それを聞いて納得しました(笑)。トオルは愚かな人間で、腹が立つ発言も多いと僕は演じる中で感じたのですが、自分と似ている部分もあるなと…人間って怖いですよね。でも共感する男性は多いと思う。原作者の中村文則さんの中にも、トオルの本質的な部分があるんじゃないかなと。
監督の武正晴さんとは、役作りをするにあたってどういうやり取りをされたのでしょうか?
村上監督とは、細かい確認をする感じでした。武監督自身が主人公のトオルみたいだったんですよね。現場に、僕以外武監督というもう一人のトオルがいて、擦り合わせしているみたいな感覚でした。
これからもめがねは欠かせない
トオルは、銃を手にすることによって力を与えられたように錯覚し、だんだんと変化していきましたが、村上さんにも身につけることによって自身が“変われる”というアイテムはありますか?
村上トオルの銃とはちょっと違いますが、香水かな。僕の母親は自然派なので、大反対されるんですけど(笑)。でも特に男性は、都会で生活する上でのエチケットとしても、香水は必要だと思うんですよね。香り一つで気持ちが変わりますし。疲れている時はシトラスがいいとか、その時によって好きな香りが変わるのも面白いと思っています。
変化というと、女性はお化粧で変わることができるように、男性はめがねで変化を! ということをめがね新聞で提唱していまして。
村上確かに! かなり印象が変わりますもんね!
村上さんは、ラウンド型やボストン型などの丸みのあるフレーム以外にチャレンジしたいという気持ちはありますか?
村上もちろんあります! 役として“似合っていないめがね”をかけてみるっていうのもやってみたいな。プライベートでは抵抗があるので、あくまで役柄として(笑)。
先ほどお父様から借りためがねがきっかけで、ラウンドのめがねが好きになったとおしゃっていましたが、今でもお父様とめがねやファッションのお話はしますか?
村上よくしますよ。そうそう、親父が手掛けている「toast FOOT & EYE GEAR」っていうブランドで、最近サングラスをつくったんです。この前、その撮影があったのですが、そのモデルを親子でやったんです。熊本の温泉の中で、男二人が裸でサングラスをかけている写真を撮りました(笑)。
男二人が裸でサングラスですか! ぜひ、拝見させていただきます!! 村上さんにはぜひこれからも、世の“めがね男子”たちを牽引していただきたいです! 次に村上さんがどんなめがねをかけているのか、引き続きチェックさせていただきます。今日はありがとうございました。
【写真】 田島 雄一
※1 東京ジェムストーン賞:
東京国際映画祭のビジョンの1つに掲げた「映画の未来の開拓」に沿って、宝石の原石(ジェムストーン)の様な輝きを放つ若手俳優を見出し、世界に紹介することを目的とし、2017年から新設された。東京国際映画祭に出品される全作品を対象として、映 画祭事務局が日本と世界の若手俳優(男優、女優を問わず)数名を選出する。
村上虹郎(むらかみ にじろう)
<プロフィール>
1997年生まれ。東京都出身。カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品「2つ目の窓」(14年/河瀨直美監督)で主演を務め、俳優デビュー。主な出演作に、映画「ディストラクション・ベイビーズ」(16年/真利子哲也監督)、「武曲 MUKOKU」(17年/熊切和嘉監督)、「ハナレイ・ベイ」(18年/松永大司監督)、ドラマ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」(15年/フジテレビ)、「仰げば尊し」(16年/TBS)、「この世界の片隅に」(18年/TBS)、舞台「シブヤから遠く離れて」(16年)など。19年の公開待機作に「チワワちゃん」(二宮健監督)。19年5月には、Bunkamuraシアターコクーンでの舞台「ハムレット」にフォーティーンプラス役での出演が決定している。
映画『銃』
11月17日(土)よりテアトル新宿ほか全国ロードショー
第31回 東京国際映画祭
日本映画スプラッシュ監督賞(武正晴監督)・東京ジェムストーン賞(村上虹郎)受賞作品
出演:村上虹郎 広瀬アリス
日南響子 新垣里沙 岡山天音 後藤淳平(ジャルジャル)
中村有志 日向丈 片山萌美 寺十吾 サヘル・ローズ 山中秀樹
リリー・フランキー
企画・製作:奥山和由
監督:武正晴
原作:中村文則「銃」(河出書房新社)
脚本:武正晴・宍戸英紀
制作プロダクション:エクセリング
企画制作:チームオクヤマ
配給:KATSU-do 太秦
製作:KATSU-do
2018年/日本/カラー&モノクロ/DCP/5.1ch/97分
■レイティング R15+