【メガネベストドレッサー賞】宮藤官九郎さんインタビュー「芝居の中のめがね」
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「第30回 日本メガネドレッサー賞」を文化界部門で受賞された宮藤官九郎さんに、「めがね新聞」がインタビューしてきました!
脚本家、監督、俳優、ミュージシャンと様々な肩書きをもち、多才にご活躍されている宮藤官九郎さん。ときにめがねは、映画や舞台などでいろいろな意味をもつ記号として使われる小道具にもなります。(詳しくは、連載コラム「めがねと映画と舞台と」を読んでみてね。)芝居に多方面から関わる宮藤さんは、めがねを芝居の中でどのようなときに使われているのでしょうか? また、プライベートではどんなめがねをかけているのかについても、お話を聞いてきました。
役者として、監督として「めがね」って○○なときに使いたくなる!
様々な役柄を演じてきた宮藤さんですが、めがねをかけて演じた役の中で印象に残っているものはありますか?
宮藤官九郎映画『ゲゲゲの女房』で演じた水木しげる先生が印象に残っていますね。そのときは普段絶対かけない黒の(ブロウフレームの)めがねをかけました。このめがねをかけた自分と、ご本人の写真を見比べたら自分でいうのもなんですが…似ていました(笑)。そのときに、めがねをかけると顔ってこんなに変わるんだと思いました。
役者の宮藤官九郎さんにとって、めがねはどのような装置になっていますか?
宮藤官九郎役を演じるうえで、役のキャラクターと本来の自分がかけ離れていると感じるときに有効なアイテムだと思います。めがねをかけると印象が変わるので「…こういう人いるな。」と思えて演じることができるんです。めがねって不思議ですよね…。自分でなくなるというか、めがねをかけると恥ずかしくなくなるんですよ。
だから、衣裳合わせのときに、「めがねかけましょうか。」とよく自分から言います。
監督・演出家としては、どういうときにめがねを使うことが多いですか?
宮藤官九郎自分が監督をするときにも、衣裳合わせの際、「めがねをかけてみましょう。」と役者さんに提案することは多いです。出演者がみんなめがねをかけていると嘘くさくなってしまうので、「この人とこの人はめがねにしよう。」と選んでかけてもらいます。昔は「めがね」っていうと「ガリ勉」などのイメージでしたが、今やめがねはおしゃれアイテムのひとつなので、「めがねをかけたチャラい役」を演じてもらうこともあります。自分が役者のときも監督のときも、「なんか寂しいな」と感じたときに、めがねをかけたり、かけてもらったりしますね。
プライベートではどのようなシーンでめがねをかけますか?
宮藤官九郎ずっと目が良かったんですけど、この賞を頂いた機会に検眼をしてみたら、目が悪くなっていたんです! だから、パソコン作業用に「近いところを大きく見るためのめがね」をつくりました。それをかけるとすごい楽なんです。本とか資料とかの字って小さいじゃないですか。あと薬のラベルに載っている用途を書いた文字とか「これ絶対読めないよ!」という文字を読むときにかけています。
iOFTの展示ブースでいろいろなめがねやサングラスをご覧になったと思うのですが、今後挑戦してみたいめがねはありましたか?
宮藤官九郎サングラスはかけるのが恥ずかしくて今までかけていなかったのですが、先ほどいろいろなサングラスを見せてもらって「サングラス…いいな…。」と思いました。今までは街で気づかれたくないときに、ブルーカラーのレンズが入ったPC用めがねをかけていたこともあったのですが、あたかも「今声かけないで!」と言っているようになるので、かけなくなってしまったんです。でも、今回めがねを買ったのを機に、めがねをかけていないと「めがねかけていないの?」と聞かれるぐらいのめがねキャラになっていこうと思います。
宮藤さんのお話を聞いて、観る側だけでなく演じる側にとっても、めがねは「変身」の道具として有効だということがわかりました。
めがねをかけると、自分が抱いていた自分のイメージとは違った自分になれる…これはめがねを知るうえでの良いキーワードのような気がします…。
顔にかけるめがねは、その人の印象を大きく変えるものだから、かける人の「もうひとつの顔」を、ひいては「もうひとつの側面」を引き出すことができるんですね。
宮藤官九郎さん、ありがとうございました!
宮藤官九郎
1970年7月19日生まれ。
脚本家、監督、俳優、ミュージシャンなどと幅広い分野で活躍。
現在放送中の火曜ドラマ『監獄のお姫さま』(TBS/2017年10月〜O.A)の脚本を担当している。
91年より大人計画に参加。
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