めがね男子の為事File. 004 こわしやすひこ

働くめがね男子の実態を探る「めがね男子の為事」シリーズ。第4回目は中野の美容院“I WANNA GO HOME CONCENT”で美容師として働くこわしやすひこさんにお話しをうかがいました。

めがねについて

めがねをかけ始めたのはいつからですか？

こわしやすひこ1980年生まれのファミコン世代なので、小3くらいのときに目が悪くなってめがねをかけていました。学校から「目が悪いので眼科に行ってください」と通知がきて。

それで、親とめがね屋さんに行ったんですか？

こわしやすひこはい。人生初のめがねは“PERSON’S”というメーカーでした。“PERSON’S”のめがねを“けろけろけろっぴ”のケースに入れていました。80年代らしいですよね（笑）。それで授業中だけかけていました。

ずっとかけていたわけではなかったんですね。

こわしやすひこそうですね。中学校も授業中だけで、高校時代は女子の目を気にするようになって、コンタクトレンズが流行ったのでコンタクトで過ごしました。専門学校時代までコンタクトでしたね。

なぜですか？

こわしやすひこ昔はめがねが好きじゃなかったんです。めがねって前は印象があまり良くなかったじゃないですか。80年代生まれからすると、スラムダンクの小暮くんとかのび太君とか、ダメ人間かガリ勉みたいな「めがね＝ダサい」というイメージがありました。今は時代が変わりましたけど。

ずっとかけるようになったのはいつからですか？

こわしやすひこ美容師になったときですね。まず、伊達めがねから始まったんです。

なぜ美容師になったタイミングで？

こわしやすひこ専門学校を卒業して原宿の“ACQUA”という美容院で勤め始めたときなんですけど、当時、美容師はアイドルやタレントという考え方の時代だったんです。“カリスマ美容師”という言葉が流行りはじめて。

何年くらいですか？

こわしやすひこ2000年くらいです。

美容師よくメディアに出ていましたね。

こわしやすひこ上司から「お前のタレント性が足りない。もう少し、お客様に『面白い』とか『カッコイイ』と思われるようにアクセントを顔に作れ」と言われて。そこで面白い帽子を買おうと竹下通りで見ていたら、すごく派手なクリアフレームの伊達めがねがあったのでめがねにしようと。上司の評判も良かったので、そこから色んな伊達めがねを2週間に1回、1000円くらいのものを買って月ごとに変えてかけてました。

…というのが始まりだったんですが、ある日気付いたんです。「こんな不便な思いをしてコンタクトにしているんだったら、これに度を入れたらいいんじゃないか」と（笑）。

それどのくらいで気付いたんですか？（笑）

こわしやすひこ1年くらい気付けなかったです（笑）。ずーっとコンタクトをして伊達めがねをかけるという作業をやっていて。コンタクトもお金かかるし、不便だし、外さないと寝れないし。

それから、度入りに？

こわしやすひこ中学生以来の度入りにしました。

どんなめがねを買ったんですか？

こわしやすひこお金もあまりなかったので、竹下通りにできた3,000円くらいの安売りめがね店で買いました。小学生くらいのときはめがねって3〜4万するイメージだったんですけど、「こんな安いんだ」と思って。まず、度入り3つで1万円というめがねを買ったんです。日によってめがねを変えたかったので。

どういう形だったんですか？

こわしやすひこ当時は“alain mikli”が美容師の中で流行っていたんですよ。今だと、“OLIVER PEOPLES”とかが流行っているんですけど。“alain mikli”のフレームに似たパチもんを買いました（笑）。本物は4〜5万して買えなかったので、似たようなものを探して。とにかく、イケてるブランドのオマージュみたいなのを3種類買いました。

変えていたのは気分で？

こわしやすひこ洋服によってですね。気分はいつも絶好調で変わらないので！（笑）

伊達めがねはもうかけていないんですか？

こわしやすひこ伊達めがねはサングラスくらいですね。

サングラスのときはコンタクトで？

こわしやすひこそうなんです。

ほかにコンタクトつけるときはあります？

こわしやすひこスポーツやるのでそのときですね。

スポーツは何をやるんですか？

こわしやすひこスノーボードとかです。スノーボードやるときはめがねオンゴーグルになってしまうので。昔は3D映画観に行くときもコンタクトにしてたんですけど、今はめがねの上からでも3Dめがねをかけられるようになったんですよね。

今、持っている本数は何本くらいですか？

こわしやすひこ度入りで20くらい持っています。

年に何本くらい買いますか？

こわしやすひこ年に2〜3本です。

どこで買っているんですか？

こわしやすひこ欲しいめがねがあればどこでも行きますよ。

美容師やっていなかったら、めがねかけていなかったかも？

こわしやすひこかもしれないですね。今となってはめがねを取った顔を見せるのが恥ずかしいです。女の人がスッピン見せるみたいな。恥ずかしくて人前では外せない。外した顔は心を許した人にしか見せられないですね。

仕事について

“I WANNA GO HOME CONCENT”で働き始めたきっかけはなんですか？

こわしやすひこもともと“I WANNA GO HOME CONCENT”は早稲田通りにあったんですけど、当時早稲田通りにバイクを路駐していまして、それがオーナーのお店の目の前だったんです。前の会社を辞めてフラフラしていて「そろそろ働こうかな」と思っていたときに求人募集を見つけて、連絡したら代表が1人でやるというので「手伝いますよ」って。

“I WANNA GO HOME CONCENT”で働き始めてから、今で15年目ですか？

こわしやすひこそうです。22歳のときから今のお店（I WANNA GO HOME CONCENT）です。

当時は、2人でやられてたんですか？

こわしやすひこ最初はそうですね。その後1人女性が入って、3人でやっていました。

美容室入り口のマットのデザインは最初からめがねなんですか？

こわしやすひこ“I WANNA GO HOME CONCENT”で2店舗目を出すときだったので、2010年くらいです。

なんでめがねをやろうと思ったんですか？

こわしやすひこ歳を重ねて店長になるまでは、ただお客さんを綺麗にすればいいというだけで、何も決めてなかったんですけど。人が増えて、組織として“I WANNA GO HOME CONCENT”が2店舗目になったとき、スタンダードな美容室にプラスの存在感として入れようと思ったのがめがねでした。めがね店長とか当時言われていたので、結構軽いノリでしたね。

名刺にもめがね入ってますよね。

こわしやすひこそうですね。名刺は4〜5パターンあって、めがね推し（ニュアンスがわからないけれど、これで合っている？）の名刺、名前推しの名刺、ちゃんとしたところ行くときの名刺などがあります。よく使うのは3パターン。

全部にめがねが入っているんですか？

こわしやすひこ固いのには入っていないですが、残りの2パターンには入っています。

名刺にめがねを入れるようになったのはいつごろですか？

こわしやすひこ最初の名刺から入っていました。

どうして入れようと思ったんですか？

こわしやすひこお客様発信だったんです。電話予約でも「眼鏡の人」とか「眼鏡君で」という声が多くなってきて「そういう風に見られるんだ、じゃあそれを推した方がいいじゃん」って。

「自分はめがねキャラだ！」的な意識は最初からあったんですか？

こわしやすひこ最初は低かったですよね。お客様に言われるようになってから気づきました。

“ACQUA”時代は「眼鏡君」とか言われなかったですか？

こわしやすひこあんまりなかったです。原宿だと個性が強い人が大勢いたし、めがねのスタッフもいっぱいいたし、めがねだけだと勝てなかったですね。

自分のめがねキャラが浸透していって、得したことってありますか？

こわしやすひこたくさんあります。1番はお客様に覚えてもらいやすくなったこと。あとはめがねをかけている人の気持ちがわかるようになりました。これは美容師あるあるなんですが、不思議と自分に似た人がお客様で多くなってくるんですよ。雰囲気とか年代とか。だから、僕のお客様はめがねかけた人が多いです。

なるほど。最後に、こわしやすひこさんにとってめがねとはなんですか？

こわしやすひこ生活の基礎ですよね。これがないと何も見えないので。失うと舵を失って前に進めなくなりますからね。朝起きて水を飲む前に、1番始めに触るものですから。恋人よりも先にまずめがねを探します（笑）。めがねがないと恋人を見ることも出来ないので。そう考えると、命の次に大事なものですよね。

ありがとうございました！！