【めがねスポット巡り・前編】そうだ、目の神様を巡りに京都行こう!
目次
以前掲載した、人がくぐれる「大めがね」が話題の「壷阪寺」(通称:めがね寺)の記事を覚えていますか?
(まだ読んでない!という方は、こちらからどうぞ!)
あの経験をきっかけに、私は全国各地の「目」にまつわるご利益がある神社仏閣を調べてみました。すると、あの京都にもいくつか存在するんだそう! 京都には何度も行ったことがあるのに、全然知らなかった…。
これは実際に行って自分の目で確かめるしかありません!!(目の神様だけに)
ということで、早速車に乗って、京都・目の神様を巡るご利益ツアーに行ってきました!
まずは前編をどうぞ〜。
ちょっと大変だけど訪れる価値あり! 京都伏見稲荷の眼力社(がんりきしゃ)
「まず訪れたのは、外国人観光客にも大人気の「伏見稲荷大社」。朱塗りの鳥居が無数に並んだ千本鳥居が有名ですよね。鳥居の数は、境内全体でなんと1万本に上るのだそう!
全国各地に祀られている稲荷神社の総本宮である伏見稲荷大社の歴史は、平安遷都以前の711年(和銅4年)にまでさかのぼります。
稲荷山を創始とし、五穀豊穣の神、宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)の主祭神にそえて、佐田彦大神、大宮能売大神、田中大神の四大神が祀(まつ)られています。
世界最大級の旅行口コミサイトによる「外国人に人気の日本の観光スポット」ランキングで、5年連続1位に輝いている伏見稲荷大社は、この日も沢山の人で賑わっていました。
多くの参拝客は、千本鳥居が途切れた少し先にある三ツ辻という場所の手前で折り返すのですが、伏見稲荷大社のスケールはもっとずっと大きいのご存知ですか?
稲荷山全体が信仰の対象になっているので、標高約233メートル、一周約4キロという道のりを制覇する「お山めぐり」にはなんと約2時間もかかるんだそうです!
今回目指すのは、眼力社(がんりきしゃ)という目の神様。稲荷山に点在している7つの神蹟(しんせき)(※)のうちのひとつです。
三ツ辻を通り過ぎ、四ツ辻を抜けた少し先にあるはず! ということで、これは頑張るしかありません。
まずは多くの外国人観光客や修学旅行生たちに交じって、千本鳥居を抜けます。
あれ? USJアトラクションの並び列かな? と思うほどの人・人・人で、ノロノロと歩みを進めます。
朱色の鳥居がどこまでも続いている様子はいつ見ても圧巻! ときおりシャッターを押してと頼まれたりしつつ、ゆっくりと上っていきます。
各ブロックをくぐり抜けるたびに引き返す人がいるので、徐々に人混みは緩和されていくものの、今度は段々と山の傾斜がキツくなっていきます。
この日の気候は初夏のような晴天。水分補給をしながら、一歩一歩進んで行きました。
そうこうするうちに、三ツ辻に到着! 麓を出発してから久しぶりに案内板が登場しました。麓では表示がなかった「眼力社」の記載も確認できます。
図によると、少し先の四ツ辻まで行けばあと少しのはず……でした。
てくてくてくてく。あれ? おかしくない? 全然着つかなくない? 道、間違えたかな…!?
しばらく歩いても四ツ辻に辿りつかないので、だんだん不安になってきました。かといって、あれから案内板はないし、境内なのでスマホの地図もまるで役に立ちません。まさか…迷った!? と青ざめたところで、ようやく四ツ辻に到着しました。
どうやら案内板の縮尺がの歪みがトラップだったようです。あぶない、あぶない。
ここまで来たら、あともう少し! 案内が指し示す方向に進んでいくと、うっそうとした緑の中に眼力社が現れました。
躍動感のある狐の像や、たくさん置かれたロウソクが印象的で、伏見稲荷大社の中でもかなり生命力を感じる場所でした。
「眼の病が良くなる」「先見の明・眼力が授かる」というご利益があるとされる眼力社には、目の平癒を願う人だけではなく、経営者や相場関係者も多く訪れるのだそう。
この日も、何人もの方がお参りしていました。
午前中の早い時間だったのに、火のついたロウソクが何本も奉納されていたのが、眼力社が多くの信仰を集めている証拠でしょう。
向かい側にある眼力亭では、ろうそくの他にもお守りなどのオリジナルグッズがたくさん販売されているのでぜひチェックしてみてくださいね。
祇園のど真ん中にある「目やみ地蔵」
小一時間ほどかけて眼力社に参拝した後、今度は一気に祇園まで移動します。
改装されて間もない京都市場南座の近くにあるのが、次の目的である「仲源寺」(ちゅうげんじ)にある「目やみ地蔵」。山全体が参拝エリアだった伏見稲荷とは対照的に、街中の一角にひっそりと佇むお寺です。
お土産屋さんや飲食店が立ち並び、京都の中でも最も賑わっているエリア・祇園にある「仲源寺」。お店とお店の間に突然現れる入口から中に入ります。
敷地に入って正面に安置されている「目やみ地蔵」は、眼病で苦しむ人の身代わりになってくれると信仰を集めているお地蔵様です。
元々は鴨川の氾濫をおさめてくれる「雨やみ地蔵」だったという説があるそうですが(転じて「目やみ地蔵」になったとか)、現在では目にまつわるお地蔵様として広く慕われています。
観光客で溢れている通りにふと佇んでいる「目やみ地蔵」は、うっかりすると見逃してしまうほどさりげないスポット。決して広くはない敷地ですが、そこだけ時間が止まったような穏やかな時間が流れていたのが印象的でした。
京都観光において祇園は外せないエリアですよね。祇園散策の途中に、ぜひ目やみ地蔵を訪れてみてください!
「西賀茂の弘法さん」神光院へ
続いて向かうのは、「西賀茂の弘法さん」として親しまれている神光院。東寺・仁和寺とともに「京都三大弘法」の一つにも数えられている神光院は、弘法大師空海ゆかりの寺院。
祇園の賑やかさとは打って変わって、閑静な住宅街の中に佇むこぢんまりとしたお寺です。
本尊の弘法大師像は、大師42歳の時の自作と伝えられています。弘法大師がここで90日間の厄除け修行や眼病治癒の祈祷を行ったことから、眼病祈祷のお寺として知られるようになりました。
ちなみに、毎年7月には「キュウリ封じ」という厄病除けの祈祷が行われるのだそう。これも、弘法大師がキュウリに疫病を封じて病気平癒を祈願したことにちなんでいます。
なぜキュウリを用いたのかというと、なんでも、キュウリに病を封じ込めるというのは中国から伝えられた秘法なのだとか。
神光院の境内は、小規模ながらもきちんと整えられていました。とても生活感があるお寺で、案内板などは最低限しかありません。伏見稲荷や祇園の喧騒とは正反対の静けさを満喫しました。
こちらが本堂。残念ながら内部を見ることはできませんでしたが、熱心にお経を唱えながら参拝している方がいらっしゃいました。
いわゆる京都のメジャーなお寺では味わえないアットホームな空気が流れている神光院。参拝者も少なく、訪れている方々は真剣に祈っていらっしゃいました。
派手さはありませんが、脈々と地元に息づいてきたお寺の歴史を感じることができるスポットです。
前編 まとめ
想定外にハードな山登りで始まった京都・目の神様を巡るご利益ツアー。季節外れの猛暑に危うく心が折れそうになりつつも、がんばりました!
長い道程の先にある華やかな眼力社、祇園の喧騒の中ひっそりと佇む目やみ地蔵、中心部から離れた場所で静寂に包まれる神光院と、まったく異なる個性を持ったスポットを巡った前半。
私は早くも、有名どころを表面的に周っているだけでは知り得ない京都の奥深さに魅了されました。
さて、ご利益ツアーはまだまだ続きます。後編をお楽しみに!
※ 神蹟(しんせき):
かつて神様が鎮まっている祠(ほこら)があったところを、現在は「神蹟」と称している。
前編で巡っためがねスポット
◯伏見稲荷大社(眼力社)
〒612-0882 京都市伏見区深草薮之内町68番地
拝観料:無料
所要時間(お山めぐり):約120分
◯仲源寺(目やみ地蔵)
〒605-1273 京都府京都市東山区祇園町南側585-1
拝観料:無料
◯神光院
〒603-8836 京都府京都市北区西賀茂神光院町120
拝観料:無料