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【めがねと映画と舞台と】 第5回『リトル・ミス・サンシャイン』

【めがねと映画と舞台と】 第5回『リトル・ミス・サンシャイン』

| 八巻綾(umisodachi)
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今回は、2006年のアメリカ映画『リトル・ミス・サンシャイン』を取り上げたいと思います。私にとってこの映画ほど、めがねを魅力的に描いた作品は他にありません。

『リトル・ミス・サンシャイン』は、低予算で製作された作品ながら、世界中で大絶賛を浴び、アカデミー賞脚本賞・助演男優賞を受賞することになった名作ロードムービーです。この作品の中心となるのは、ミスコンに憧れる7歳の少女オリーブ。オリーブの家族は、誰もが普通ではありません。「負け組になるな!」が口癖の父親は、なんとか自分の自己啓発メソッドで一山当てようと必死。母親は離婚歴があり、仕事と家事の毎日に疲れ果てています。母親の連れ子である15歳の兄はニーチェに傾倒していて、空軍のテスト・パイロットに選ばれるまでは沈黙を貫くという誓いのために一言も喋りません。オリーブと特に仲が良い父方の祖父は、ヘロイン中毒が原因で老人ホームを追い出されてきたという強烈な性格の持ち主。さらに、自殺未遂を起こしたプルースト研究者でゲイの伯父も一緒に暮らすことになります。

          
映画『リトル・ミス・サンシャイン』
(C)2017 Twentieth Century Fox Home Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

金銭的にも苦しく、不協和音しか生み出さない一家ですが、オリーブだけは明るく無邪気に過ごしていました。そんなある日、カリフォルニアで行われる【リトル・ミス・サンシャインコンテスト】の州代表に、オリーブが繰り上がりで選ばれたというニュースが飛び込んできます。問題は山積みでしたが、大喜びするオリーブのために、一家はオンボロのワゴンに乗って800マイル離れたコンテスト会場に向かう決心をするのでした。

          
映画『リトル・ミス・サンシャイン』
(C)2017 Twentieth Century Fox Home Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

『リトル・ミス・サンシャイン』は、負け犬だらけの家族が「負け組で何が悪いんだ!」と、明るく前を向くまでの顛末を描いたハートフルコメディ作品です。それぞれのキャラクターのエピソードは笑えるものばかりですし、クライマックスのバカバカしさも相当なもの。しかし、なぜだか涙が出てきて勇気をもらえる。そんな、笑って泣ける傑作として高く評価されています。

『リトル・ミス・サンシャイン』において、「めがね」がキーワードとなるキャラクターは、一家の癒しであり、ミスコンに挑戦する7歳の少女オリーブです。彼女は、ぽっちゃり体型で大きなめがねをかけた女の子。映画は、めがねをかけたオリーブのドアップからスタートします。一般的にミスコンに出るような美少女とはかけ離れた個性を持っているオリーブですが、この作品を観た人は皆、オリーブにすっかり心を奪われてしまうでしょう。

         
映画『リトル・ミス・サンシャイン』
(C)2017 Twentieth Century Fox Home Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

オリーブはほとんどすべてのシーンでめがねをかけていますが、コンテストのステージではめがねを外します。過剰に着飾ったスレンダーな少女たちに交じり、少し不安そうに舞台に立つオリーブの表情を見て、「めがねをかけていた方がずっと可愛いのに!」と思ってしまうのは私だけではないでしょう。それくらい、めがねをかけたオリーブの笑顔は魅力的です。その笑顔とガッツで家族全員を幸せにしてしまうオリーブは、天使としか形容のしようがありません。『リトル・ミス・サンシャイン』のめがねはオリーブの魅力と不可分であり、最強のハッピーアイテムなのです。

最後に、『リトル・ミス・サンシャイン』に登場するいくつかの名言のうちのひとつをご紹介します。コンテストの前夜、「負け組になりたくない」と珍しく弱音を吐くオリーブを、祖父はこう勇気づけます。

「負け組って何か知っているか? 本当の負け組というのは、勝てないことを恐れて挑戦さえしないやつらのことだ。お前は挑戦しようとしているだろう? だから、お前は負け組じゃない」

         
映画『リトル・ミス・サンシャイン』
(C)2017 Twentieth Century Fox Home Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

この言葉を胸に、滑稽ながらも懸命に奮闘するオリーブ。顔いっぱいを覆うような、ちょっとダサい大ぶりのめがねをかけた彼女の最高の笑顔は、きっとあなたに生きる力を与えてくれるでしょう。日々に少し疲れを感じたら、『リトル・ミス・サンシャイン』を観てみるのはいかがでしょうか?

映画『リトル・ミス・サンシャイン』

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八巻綾(umisodachi)
テレビ局で営業・イベントプロデューサーとして勤務した後、退社し関西に移住。一児を育てながら、映画・演劇のレビューを中心にライター活動を開始。ライター名「umisodachi」としてoriver.cinemaなどで執筆中。サングラスが大好き。

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