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【めがねと映画と舞台と】 第6回『Billy Elliot the Musical』

【めがねと映画と舞台と】 第6回『Billy Elliot the Musical』

| 八巻綾(umisodachi)
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今回は、ついに日本版上演が実現したミュージカル『Billy Elliot the Musical』(邦題:ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』)を取り上げたいと思います。

『Billy Elliot the Musical』は、2000年に公開されたイギリス映画『リトル・ダンサー』のミュージカル化作品で、2005年にウェストエンドで開幕。2008年にはブロードウェイでの上演もスタートし、トニー賞10部門を独占するなどミュージカル界を席巻しました。

          
【めがねと映画と舞台と】 第6回『Billy Elliot the Musical』
(C) 2014 Universal Studios. All Rights Reserved.

『Billy Elliot the Musical』は、1984年炭鉱スト真っただ中のイギリスの田舎町を舞台に、バレエに目覚める少年ビリーの葛藤と努力を描いた作品です。
エルトン・ジョンが手がけた素晴らしい楽曲や、クラシックバレエ・タップ・コンテンポラリーダンス・歌・演技のすべてを見事にこなすビリー役の少年など、数多くの見どころがあるミュージカルになっています。

そして何を隠そう、私が今までで最も感動したミュージカルでもあります。ブロードウェイで初めて観賞したときは雷に打たれたほどの衝撃が全身を貫き、あるシーンでは呼吸が苦しくなるほど泣いてしまいました。

          
【めがねと映画と舞台と】 第6回『Billy Elliot the Musical』
(C) 2014 Universal Studios. All Rights Reserved.

そんな『Billy Elliot the Musical』の中でめがねをかけているキャラクターは、主人公ビリーの親友マイケル。必ずしもめがね着用必須というわけではないようですが、『Billy Elliot the Musical』を映像収録した『Billy Elliot the Musical Live』(2014年)をはじめとして、しばしばめがねをかけて登場する役どころになっています。
※なお、原作映画のマイケルはめがねをかけていません。

父親に言われて嫌々ボクシングを習っているビリーは、ひょんなことから同じスタジオの別の時間に開かれているバレエのレッスンに参加することになります。たちまちダンスに魅了されたビリーでしたが、息子がボクシングをサボってバレエを習っていることを知った父親は大激怒。
一方で、彼の才能に気づいたコーチからは、名門ロイヤルバレエスクールの入学試験を受けてみないかと提案されます。思い悩むビリーは、親友マイケルに相談することに。そして、マイケルが家でこっそり姉のドレスを着ているところに出くわします。

         
【めがねと映画と舞台と】 第6回『Billy Elliot the Musical』
(C) 2014 Universal Studios. All Rights Reserved.

マイケルはうろたえるでもなく、ビリーにもドレスを着せ、自分自身に正直である大切さを伝えます(ここで2人がタップを踏みながら歌う「EXPRESSING YOURSELF」というナンバーは見どころのひとつ!)。

マイケルに背中を押され、ビリーはバレエに対する自分の気持ちにきちんと向き合うことができるようになります。

マイケルは、ビリーの親友であると同時に、ビリーに片想いをしています。途中、ビリーははっきりとマイケルの気持ちに応えることはできないと伝えますが、それによりビリーとマイケルの関係が変化するわけではありません。
マイケルはビリーの才能を認め、彼の背中を押し続けるメンター(人生の助言者)。困難だらけの現実から目をそらそうとするビリーの視線を、ビリーの本当の気持ちへと向けさせる存在です。
また、オープニングナンバーの後で最初にセリフを言うキャラクターであり、最後のセリフを言うキャラクターでもあります(いずれも、ビリーへの呼びかけ)。

         
【めがねと映画と舞台と】 第6回『Billy Elliot the Musical』
(C) 2014 Universal Studios. All Rights Reserved.

ときに感情の制御がきかなくなってしまうほどの激しさを持ち合わせているビリーを精神的に支えているのは、幼い頃に亡くなった母の存在と、マイケルです。
マイケルのめがねはビリーを見つめるまなざしそのもの。マイケルとビリーは互いを尊重し合う理想的な関係であり、ビリーの夢の実現はマイケルなしにはあり得ませんでした。

ラストシーンで言葉を交わすビリーとマイケル。
ここから先のビリーを支えるのは、マイケルではありません。独りで歩きだしたビリーに残されたのは、ダンスだけ。これからはダンスによって自分を鼓舞し、自分を制御していかなければいけないビリー。マイケルもまた、自分自身に誇りを持って独りで歩いていかなければなりません。

『Billy Elliot the Musical』はビリーという少年のストーリーであると同時に、ビリーとマイケルという2人の少年の友情と成長の物語でもあるのです。

日本版ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』は、7月19日に開幕したばかりです。日本版マイケルがめがねをかけているかどうかはわかりませんが(現状、発表されている舞台写真のマイケルはめがねをかけていないようです)、この機会にビリーを支えるもうひとりの素敵な少年マイケルに注目しながら、この超名作ミュージカルを体験してみてください。『Billy Elliot the Musical』は、ストーリー・音楽・ダンス・舞台セットなど、すべてにおいて非常に完成度が高いミュージカル。きっと、素晴らしい感動があなたを待っています!

          

映画『ビリー・エリオット ミュージカルライブ ~リトル・ダンサー』

映画『ビリー・エリオット ミュージカルライブ ~リトル・ダンサー

DVD:1,429円+税/Blu-ray:1,886円+税 発売中
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
※2017年7月の情報です。
映画『ビリー・エリオット ミュージカルライブ ~リトル・ダンサー』Blu-ray

八巻綾(umisodachi)
テレビ局で営業・イベントプロデューサーとして勤務した後、退社し関西に移住。一児を育てながら、映画・演劇のレビューを中心にライター活動を開始。ライター名「umisodachi」としてoriver.cinemaなどで執筆中。サングラスが大好き。

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