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メガネガコンプレックスデイ 第1回「特殊装置・めがね」

メガネガコンプレックスデイ 第1回「特殊装置・めがね」

| てるやま衣子
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34歳、都内在住、女、独り暮らし。
そんな私は、どういうわけか、過去付き合った人全員めがね。
自分でもどうしてそうなるのか…わからない。

出会ったときにはコンタクトだったのに、付き合う頃には立派にめがね。
めがね、次もめがね、そのまた次もめがね…オールめがね…!

付き合う人も、好きになる人も、全員めがね。
呪い? 陰謀? それとも、私はなんかの病気なのか!?
いずれにせよ、私の「何か」が
ひどくめがねを求めている。

日本の南にある小さな島の片田舎で育った私。
自然あふれるその地域では、
まわりの友達も含め「視力2.0」なのがあたりまえ。
だから、その反動で
「目が悪い」ことに妙な憧れを抱いていた。

小学4年生の頃だったろうか。
市内からやってきた転入生がいた。
やや色白のひょろ長い見た目以外
たいした特徴もない男の子だったれど
緊張によるかしこまった雰囲気と
めがねのせいで少し知的に大人びて見えたことが相まって
やたらドキドキしたのを覚えている。
(きっとものすごく異質に見えたんだと思う!)

他にも、あるクラスメイトが めがねを新調して登校してきたのをうらやんで
おじさんの壊れたサングラスをつかって
無理矢理お手製の伊達めがねをつくって登校したことも。
(われたレンズをすべてくり抜いてフレームだけに仕立てたの…!)

「目が悪い世界」、という
私が経験したことのない未知の世界を
手に入れている人々が無性にうらやましかった。

そして、その領域に少しでも近づきたくて仕方がなかったんだと思う。

あの頃の私にとって、めがねは「魔法の道具」。
視力の悪さという自分じゃどうにもできない問題を
いともたやすく克服できる「特殊装置」。

そんな夢のような、魔法のような特殊装置は「限られた人間」にだけ与えられるのだ。

限られた人間である彼らは
めがねを手にしたことのない私が見ている世界とは違う世界を見ている。
彼らの見ている世界はどんな風なんだろう。
めがねをかける前の薄ぼんやりとした世界も
めがねをかけた後の矯正された世界も、どちらも私が未体験の世界なのだ。

それを毎日体験しているなんて…!!

ズルい! なんて、うらやましいんだ。

彼らのようになりたくて私は
親の注意も聞かず、暗い部屋で本を読み
移動中の車内でゲームボーイやマンガに興じ
テレビを至近距離で見続けた。
(※ いい子は真似しないでね。)

そして、小学6年生の秋の頃
視力は急激に急降下。
(でも、親を見るに多分遺伝。)

そりゃあもう、ほくそ笑んだよね。
心の中でガッツポーズ。

あの、限られた人間にしか与えられない「めがね」を
私はようやく手に入れたのだった。
(チャチャララッ、チャチャッチャー♪)

【イラスト】 P:ggy(ぴぎー)

てるやま衣子
大学卒業後、出版社勤務を経てフリーランスエディターとして活動。その後アパレル会社のウェブメディア編集に。現在はファッション系Eコマースサイトの運営に携わりつつ細々とエディター、ライター業をこなす。ファッションと酒を愛するアラサー独女。