【伊藤美玲のめがねコラム】第11回 春の展示会雑感
えっ、また展示会の話かって?
タイトルを見て、そう思った方もいるでしょう。だって、春の展示会は年に2度あるめがね祭り(私は展示会シーズンをそう呼ぶ)のひとつですから、いろいろ書きたいことがあるんです。今回は、春の展示会取材を終えての雑感をまとめてみようと思います。
「今季の新作の傾向は?」というのは毎回よく聞かれる話ですが、数年前の黒セル全盛のときに比べたら、いい意味で年々その傾向はひと言で括りにくくなっているように思います。
そのなかでも目立っていたのは、昨シーズンに引き続きツーブリッジ(ブリッジが2本になっているスタイル)やハイブリッジ(ブリッジが高めについているスタイル)。
これまでツーブリッジといえばアヴィエーターなどサングラスのイメージでしたが、オプティカルでも採用しているものが増えています。レンズシェイプも、ラウンドだったりボストンだったり様々です。
そんななか、私も昨年から女性が掛けやすいツーブリッジをいろいろと探しているんですが、今回ayameの新作のツーブリッジは顔馴染みが良くさらりと掛けられる感じでした。
カラーとしては、ピンクやベージュ、グレーといった淡い色が増えている印象。いずれも明るすぎずトーンを落としたものが中心で、淡い色の柄模様とかクリア系生地のものも目立っていましたね。
私はわりと濃いめの色のフレームばかり掛けてしまう傾向があるので、チャレンジしてみたいカラーでもあります。
そして気になるのは、トレンドのラウンドの次を探している人に打ってつけといえそうな天地幅のゆったりしたスクエアやオーバル、多角形です。これらはいずれもメタルフレームが多い印象ですかね。
個人的には、オーバルがとても気になっています。オーバルって、ともすると凡庸になりがちなシェイプだから選び方がとても難しい。でも、クレイトンフランクリンの昨年モデルの新色は、作りの美しさと赤みのあるデミ柄のアクセントが効いて、お洒落っぽく掛けられそうでした。
あとは、メタルフレームが年々繊細さを極めていき、フォーナインズからもクラシカルなツーポイントが登場した一方で、ややゴツめのプラスチックフレームを打ち出すブランドがまた出始めてきているのも興味深かったです。
たしかに私も、日常的には繊細なフレームを手に取ってしまうことが多いけれど、久しぶりに存在感のあるフレームを掛けたいなという気分になっているのも事実。揺り戻しってやつですね。
……と、なんだかこのレポートの内容では、「いろいろあり過ぎて、傾向のまとめになっていない!」とお叱りを受けそうですが……。でも本当にここには書ききれないぐらい、多彩な新作が発表されているんですよ。
各ブランドの強みや個性が発揮されている新作コレクションを見るのは、本当に楽しいもの。そこから自分に合う1本を悩んで悩んで選ぶのも、また楽しいわけです。
でもって、私はまた購入するフレームを決め切れていないまま。あー、もういっそ全部買ってしまいたいー!
東京都生まれ。出版社勤務を経て、2006年にライターとして独立。メガネ専門誌『MODE OPTIQUE』をはじめ、『Begin』『monoマガジン』といったモノ雑誌、『Forbes JAPAN 』『文春オンライン』等のWEB媒体にて、メガネにまつわる記事やコラムを執筆してい る。TV、ラジオ等のメディアにも出演し、『マツコの知らない世界』では“メガネの世 界の案内人”として登場。メガネの国際展示会「iOFT」で行われている「日本メガネ大賞」の審査員も務める。