【伊藤美玲のめがねコラム】 第82回「めがねで視界をカスタムする」
目次
私のめがね選びに起きた変化
皆さま、どうもお久しぶりです。
前回のコラムから、約1年4カ月ぶりの更新 となります。
その間、世の中いろいろあったわけですが、それに伴い私のめがねライフにも変化がありました。
コロナ禍でなるべくなら目に直接触れたくないという理由から、それまで外出時の定番であった「コンタクト&伊達めがね」というスタイルが激減。気がついたらこの1年4カ月の間に、度付きのめがねを5本も新調していました。
薄いカラーを入れたものを2本、調光を1本、そしてクリアレンズのものを2本です。5本新調したことで、1軍ともいえる現役の度付きめがねは9本に。
やっぱり度付きとなると、レンズ選びにも気合いが入るわけで。レンズへの興味はこれまで以上に増しました。そして先日、「手持ちのめがねを、どのように使い分けているんですか?」と聞かれてハっとしたんですが、最近の自分は、フレームよりもレンズ主体でその都度かけるめがねを選んでいることに気がついたんです。
「今日は屋内⇄屋外の出入りが多いから、調光レンズ(※1)を入れためがねを掛けよう」
「オンライン会議がある日は、目元がクリアに見える低反射コーティングのレンズを」
「執筆中に感じるPC画面の眩しさには、カラーを入れたブルーライトカットレンズで対応」
などなど。そのほか、時と場合により単焦点(※2)とサポートレンズ(※3)を使い分けたり、すっぴん隠しとして度付きの薄色サングラスを掛けたり。
いやぁ、シチュエーションに合わせてレンズを選ぶって、なんて楽しく快適なんだろう…。もちろん、これまでも感じていたことではあるのですが、カラー含め度付きのバリエーションが増えたことで、改めてその利便性をひしひしと実感しているのです。
シーンに合わせて視界を選ぶ快適さ
そう。めがねって、自分にとって快適な視界を作ることができる道具なんですよ。
“目が悪くなったらかけるもの”、とネガティブなイメージを持っている人も多いと思うのですが、“自分の視界をカスタムできるもの”と捉えたら、ちょっとポジティブに感じられるでしょう? だから私は、最近めがねを新調するたびに「次はどんな視界を得られるのだろう」と、ワクワクせずにはいられないのです。
レンズメーカー各社はさまざまな設計のレンズをラインナップしていて、さらなる機能をプラスできるコーティングの種類もさまざま。本当に、驚くぐらい種類があるんですよ。もちろん、ユーザー側はそれらを把握できていなくても大丈夫。お店に行って、自分が見え方について抱えているストレスを相談すれば、相応しいレンズや度数を提案してもらえるはずです。レンズを最後のオマケみたいにささっと選ぶなんて、本当にもったいない!
これまで、めがねを新調する楽しみといえば「新しい印象を手に入れる」こと、つまりフレームのほうがどちらかといえばメインでした。でも今は、レンズに夢中です。もちろん、その比重は時と場合によっても変わるのだけど、いずれにしても“見た目”も“見え方”も変えられる道具なわけだから、どちらも楽しまない手はないですよね。
シーンに合わせて見え方を選べるものと考えれば、いわゆる“目が良い”とされている人もかけたっていいわけで。パソコン作業用に近くを見るためのめがねを作ったほうがラクだし、日頃眩しさを感じているのならカラーを入れた伊達めがねを作るのもいいでしょう。めがねは、決して“目が悪い”人だけのものではないのです。
というわけで、このコラムではより多くの人がめがねを快適に、そして楽しく使える情報を引き続きお届けしたいと思っています。また改めて、どうぞよろしくお願いします!
※1 調光レンズ:
紫外線を浴びることでレンズの色が濃くなるレンズのこと。日差しの強い屋外ではサングラスのように濃い色のレンズとなり、紫外線の届かない室内などでは通常のめがね同様クリアなレンズとなる。
※2 単焦点:
1枚のレンズに1つの補正機能を持つ一般的なレンズのこと。近視・遠視・乱視・手元専用などの種類がある。
※3 サポートレンズ:
レンズの下部に、スマホなど近くが見やすい度数を入れたレンズ。調節機能の働きをサポートして、ピント合わせを楽にしてくれる。
東京都生まれ。出版社勤務を経て、2006年にライターとして独立。メガネ専門誌『MODE OPTIQUE』をはじめ、『Begin』『monoマガジン』といったモノ雑誌、『Forbes JAPAN 』『文春オンライン』等のWEB媒体にて、メガネにまつわる記事やコラムを執筆してい る。TV、ラジオ等のメディアにも出演し、『マツコの知らない世界』では“メガネの世 界の案内人”として登場。メガネの国際展示会「iOFT」で行われている「日本メガネ大賞」の審査員も務める。