【伊藤美玲のめがねコラム】第67回「“似合うめがね選び” その先の情報を」
もうだいぶ前のことなのですけども。某ファッション系のWEBメディアから「似合うめがねの選び方を指南する企画をやりたいんです。顔型別に。」と、企画のお話をいただきました。
顔型別の指南について私が疑問を呈しているのは、このコラムを読み続けてくださっている方ならご存じの通り。というわけで、先方に持論をお話ししたところ、残念ながらこの依頼はなかったことになりました。顔型別でやることは、もう決定事項だったようです。
顔型別のセオリーを忘れて、めがねを選んでほしい。これは私だけの持論というわけではなく、めがね業界ではわりと主流になってきている考えです。現に、セレクトショップなどに限らず、大手チェーン店の自社サイトでも、顔型よりサイズの重要性を謳っているのをよく見るようになりました。
ですが、めがね専門ではない雑誌やWEBメディアでは、まだまだこの顔型別のセオリーは根強い。なぜなのでしょうか……?
その理由には、ページの構成がしやすいということが挙げられると思います。これは、雑誌作りに関わっているものとして、わからなくもない話です。というのも、「丸顔にはスクエア」といったようにめがねの形別にカタログページを作れば、めがねを分類しやすいし、読んでいる側も何か知識を得たような気分になれるでしょう。
でもね、そうやって顔型別に“似合う” “似合わない”ということばかりにフォーカスした企画が溢れることで生まれてしまったのは、“似合うめがねを選ばなくては”という呪縛ではないかと思うのです。
とくに、この呪縛にがんじがらめになっているのは、女性のほうが多い印象です。めがね選びは、本来もっと楽しいはずなのに……。 そんなふうにモヤモヤしていたとき、じつにタイムリーなトークイベントのご依頼が!
じつは去る9月10日に、増永眼鏡の新商品発表会が青山のMASUNAGA1905にて行なわれたんですが、その発表会のなかで「女性のめがね選び」について語る機会をいただいたんです。お話のお相手は、いつも一緒に仕事をしている、モードオプティーク編集長・松崎薫子さんと、増永眼鏡のプレスを務める野原弘道さん。
私や松崎さんが、日々自分のめがね選びについて考えていること。そして、めがねの情報を届けるうえで考えていることなど、お話しさせていただきました。めがね選びの際、必ず押さえておきたい3つのポイントについても。
そのポイントを含め、当日の詳細はめがね新聞さんのレポートに譲りますが、私たち3人がとにかく伝えたかったのは、「顔型のセオリーに囚われ過ぎず、もっと自由に楽しくめがね選びをしてほしい」ということなんです。
じつは、この写真の3人、同じめがねをかけているんですよ。色も形も。もちろん、かけているのは、今回発表された増永眼鏡の新シリーズ「MASUNAGA Chord」からの1本。まさに三者三様のかけこなし。ね、顔型なんてあんまり関係ないでしょ?
ちなみに、TOP画像の中央にあるのが「MASUNAGA Chord」なのですが、こちらはめがねに慣れていない人にもオススメしたい軽やか~な掛け心地。シンプルだけど、リム(※1)やブリッジ(※2)はツヤ&マットと要所で質感にコントラストをつけるなど、凝った作りゆえの上質感が漂っています。
そして、私たちそれぞれにハマっていることからも明らかなように、コーディネートの自由度も高いのが魅力。こちらに限らず、シンプルかつ細身のめがねは、メイクで様々な印象を作れるのも楽しいんです。
そう。めがねの情報で伝えるべきは、”選び方”だけじゃない。楽しみ方とか、より快適に使うためのコツだったりとか、選び方のその先の情報も、メディアはもっと伝えるべきなんです。
改めて、そう感じたのでした。
最後にこの場をお借りしまして、今回のイベントにお声をかけてくださった増永眼鏡さん、ご来場いただいた皆々様にお礼を申し上げます。
※1 リム:レンズのまわりを囲む縁の部分の事。
※2 ブリッジ:左右のリムをつないでいる中央の部分。
東京都生まれ。出版社勤務を経て、2006年にライターとして独立。メガネ専門誌『MODE OPTIQUE』をはじめ、『Begin』『monoマガジン』といったモノ雑誌、『Forbes JAPAN 』『文春オンライン』等のWEB媒体にて、メガネにまつわる記事やコラムを執筆してい る。TV、ラジオ等のメディアにも出演し、『マツコの知らない世界』では“メガネの世 界の案内人”として登場。メガネの国際展示会「iOFT」で行われている「日本メガネ大賞」の審査員も務める。